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「上手に生きられない人間たちの悲哀を描きたい」藤本賞に川村元気氏(2011.06.02)

277本の映画を世に送り出した映画プロデューサー藤本真澄氏の功績を讃え、その年に著しい活躍をした映画製作者を中心に表彰する「第30回藤本賞」の授賞式が6月2日(木)に行われた。「悪人」「告白」を製作した川村元気氏が本年度の藤本賞を受賞し、特別賞には「最後の忠臣蔵」を監督した杉田成道氏と「武士の家計簿」を製作したHara Officeの原正人代表、奨励賞には「海猿」シリーズを製作した臼井裕詞氏、新人賞には「孤高のメス」を製作した天野和人氏が輝いた。

川村氏には「誰もがハイリスクと認める原作小説2篇の映画化に、独創あふれる二人の監督と果敢に挑み、時に衝突しながらも製作陣の一員として企画開発の長い迷路を粘り強く辿り、脚本作りに始まり多彩な配役そして適正予算の策定から作品完成に至る実務を2作ほぼ同時進行で整え、両監督の奔放な想像力を解放する事で国内外の圧倒的評価を受けた異色の娯楽作を完成させ、宣伝面の役割も充分に果し興行的にも大成功させた」その功績に対して藤本賞が授与された。

受賞スピーチでは「この2本は難しく暗い物語ながら、東宝の仲間たちが応援してくれ、愛してくれたからこそ大きなヒットに繋がりました。『電車男』からプロデュース作品は10本目となり、そろそろ堂々とした作品を作らなければという思いがありましたが、上手に生きられない人間たちの悲哀を、これからも描いていけたらと思っています」と語った。

また、「世界の中心で愛を叫ぶ」の製作で藤本賞を受賞した東宝の先輩・市川南氏が受賞スピーチの際に父親について語っていたことが印象に残っていたといい、「僕の父は日芸を出て、日活で働いていたのですが、ロマンポルノの終焉の時期で、その給料では家族を養っていけないということで会社を辞めました。3歳の時に初めて連れて行ってくれた映画が『E.T.』で、毎週日曜は『ブレードランナー』か『幕末純情伝』を観て、今日は映像だけで観ようとか、音だけで聞こうといった具合に特殊な映画教育を受けてきました」と、根っからの映画人である父親の影響を受けていることを明かした。

フジテレビで「北の国から」シリーズなどを手掛けてきた杉田氏は「私は元々テレビの人間で、20年前の『優駿』、『ラストソング』では日本アカデミー賞で8部門、9部門ノミネートを果たしたのですが、監督賞にはかすりもせず、映画には向いていないのかと思っていました。久しぶりにこの作品を撮り、『武士の家計簿』には負けないぞと思っていましたが負けてしまい、二度と映画は作れないかもしれないなと思っていたところに、藤本賞のご一報をいただけたので、今はもう一本いけるかなと思っております」と語り、会場からは笑いが起こっていた。

公開情報 公式サイト:http://www.eibunkyo.jp/fujimoto03.html

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