ニュース

「第32回東京国際映画祭」のコンペティション部門に邦画2作品選出(2019.09.23)

10月28日から11月5日まで開催される「第32回東京国際映画祭」のコンペティション部門に、足立紳監督作「喜劇 愛妻物語」と手塚眞監督作「ばるぼら」の邦画2作品が選出された。

「喜劇 愛妻物語」は、「百円の恋」で日本アカデミー賞をはじめ数々の脚本賞を受賞した足立氏が、自身初の自伝的小説を基に脚本・監督を務めた。うだつのあがらない脚本家の夫と、その夫を罵倒し続けながら家計を支える妻を通して描かれる夫婦讃歌で、濱田岳と水川あさみが出演。足立監督は「この映画に出てくる柳田夫妻は、他人から見ればなぜ一緒に居続けるのか理解に苦しむような夫婦かもしれない。夫婦と言う一対一の面倒くさい人間関係を諦めず、しつこく幸せになることを追い求める彼らの姿は滑稽で生命力に溢れていて、映画で描きたいと思った」とコメント。また、「ばるぼら」は、手塚治虫が70年代に発表した禁断の愛とミステリー、芸術とエロスなど様々なタブーに挑戦した問題作を、生誕90周年を記念して初映像化。実子である手塚眞が監督し、撮影監督をクリストファー・ドイルが務めている。出演は稲垣吾郎、二階堂ふみ。手塚監督は「手塚治虫の異色作と言われていますが、僕にはストライク・ゾーン。アートとエンターテインメントの境界を揺らぎつつ、その融合を目指した映画です。耽美的な愛と狂気の寓話をどうぞ味わって下さい」とコメント。なお、選定理由について矢田部吉彦プログラミング・ディレクターは「『ばるぼら』は耽美で幻想的、魔術的でエロティックな世界観の独創性が、近年の邦画において際立っている。手塚監督の到達点とも呼べる作品であり、コンペへの招聘が祝福となることを期待したい。『喜劇 愛妻物語』は脚本家として積み上げたキャリアを自虐すれすれのところで笑いに昇華させる技術に感服し、水川あさみと濱田岳のコンビからキャリアハイのド迫力演技を引き出した演出に敬意を表したい。シリアスな作品が多いコンペの中で台風の目となりうるコメディであると信じている」としている。

(9月19日付 日刊興行通信より)

バックナンバー

ページのトップへ