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「星守る犬」完成披露会見、西田敏行「美しい三陸の海やいわきの海が映っています」(2011.05.10)

村上たかしのベストセラーコミックを映画化した「星守る犬」の完成披露記者会見が9日に行われ、西田敏行、玉山鉄二、川島海荷、中村獅童、岸本加世子、藤竜也、瀧本智行監督、原作者の村上たかしが出席。西田らは撮影時のエピソードや作品について語ると共に、昨年夏に撮影が行われ、先日の東日本大震災で大きな被害を受けた東北地方への想いも語った。

2008年に刊行され、「とにかく泣ける」と各メディアで話題となった村上たかし原作の同名コミックを、「犯人に告ぐ」「イキガミ」の瀧本智行監督が実写映画化。名もなき男と愛犬・ハッピーの旅路を通して、人生の夢や挫折、老いと孤独、不況、リストラ、熟年離婚、無縁死などの現代社会が抱える問題に深く切り込みながら、人との触れ合いや絆の大切さを美しい景色と共に描いている。

本作で東京から福島、宮城、岩手、青森と北上し、北海道まで愛犬と旅を続ける主人公“おとうさん”を演じた西田は本作への出演を即決したという。「大阪行きの新幹線の中でマネージャーから原作を渡され、浜松で号泣し、名古屋で出演を決め、大阪に着いた頃にはハッピーを連れたおとうさんの気持ちでキャリーバックを引いてました」と明かし、共演の秋田犬ハッピーについては「遺伝子が狼に近いのか、人にこびたりいちゃついたりしない、かなり寡黙なタイプの犬。人間で例えるなら“孤高の人”なので、撮影が進むにつれて野郎二人の旅という感じで気持ちがさばけてきました」と話し、笑いをさそった。また「はからずも大震災前の東北太平洋側のロードが記録されていて、美しい三陸の海やいわきの海が映っています」と感慨深げに語った後、「撮影に参加されたエキストラの方の中で、津波で亡くなった方がいると聞きました。被災者の皆さん頑張っていると思いますが、家族に涙を見せず歯をくいしばって頑張っているおとうさんに、映画にかこつけて泣いてみたらどうですか?と少し提案してみたい気持ちもあります」と語った。

一方、おとうさんとハッピーの旅の軌跡を辿る青年・奥津役の玉山は尊敬する西田と貴重な時間を共有できたという。「シーン自体の絡みはなかったんですが、夜は飲みに誘っていただき色々な話をききました。電車で青函トンネルを抜けて本州に南下した時は、まるで旅番組のような感じで、途中下車して立ち食いそばを食べたり、民謡居酒屋で2人で踊っていました」と楽しい思い出を明かした。

偶然の出会いから奥津と旅をすることになる少女・有希役の川島海荷は「原作にない役で最初は不安と緊張でいっぱいでした」と明かすも、「明るくひたむきに夢をおいかけ、旅をしながら成長していく女の子。私の役によって生きる希望を伝えられたら」とコメント。

西田演じる“おとうさん”と離婚を決意する“おかあさん”を演じた岸本は「西田さんとは、私が海荷ちゃんくらいの時に『西遊記』でご一緒して以来。今回、別れてはしまうが夫婦役ができて本当に嬉しかった」と共演の喜びを語った。

最後に西田は「大震災前までは、無縁死や老人の孤独死、人と人との絆の希薄さなど、なんとも言えない閉塞感を感じていました。しかし震災後、日本が一つになったのも事実。津波に流されたものがどれだけ大切だったか、日常に普通にあったものがなくなることの喪失感を顕著に感じました。被災地では、戦争を知らない人間が見ると、大きな爆弾が一発落ちてしまったのかと思うほど悲惨な状況を目の当たりにしました。しかし今、その震災の前に失っていたものを取り戻そうとしている自分にも気づきます。この映画は、生きていくうえで何が大切か、人と人との絆とは何かをやんわりと皆さんに訴えている作品。素直な感情でご覧になって欲しい」と改めて強い思いを真摯に訴えた。

公開情報 東宝配給「星守る犬」は2011年6月11日(土)全国公開
公式サイト:http://hoshimamoru.com/

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