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「自分のエゴで映画を撮らなくなった」伊勢谷友介監督第2弾「セイジ-陸の魚-」完成会見(2011.10.27)

監督第1作目「カクト」から8年ぶりにメガホンをとった伊勢谷友介による最新作「セイジ-陸の魚-」が、現在開催中の第24回東京国際映画祭で特別招待作品として出品されていることから、同映画祭内で完成記者会見が10月27日(木)に行われた。本作は、人が人を癒すことの難しさを描いた辻内智貴のベストセラー小説「セイジ」に感銘を受けた伊勢谷監督が、5年の月日をかけて映画化したこともあり、映画に対する熱い思いを語った。

物語は、大学最後の夏休みに自転車で一人旅をしていた“僕”が、旧道沿いに立つドライブイン『HOUSE475』に辿り着き、寡黙だが心を捉える言葉を持つ店主のセイジと個性的な常連客たちに惹かれ、住み込みで働くようになるのだが、平和な日常を一瞬で吹き飛ばす凄惨な事件が起こるというもの。

これまで俳優として、数々の作品に出演してきた伊勢谷監督は「作品を撮ることは僕の一つの夢で、まだ2作品目で緊張していますが、皆さんに観ていただけることを楽しみにしています」と挨拶。俳優と監督をどう自分の中で位置付けているか質問されると「大学1年の時から映画を作りたいと思っていたのですが、表現という過程の中に俳優という職業があって、俳優としても面白い時間が過ごせています。俳優は料理で言うなら具で、監督は料理を何にするか具をどうするかなど決める、表現の最高峰の芸術だと思うんです。でも俳優やリバース・プロジェクトも僕には同じくらい重要です」と明かした。

リバース・プロジェクト(Rebirth Project)とは何なのか?伊勢谷監督によると「人類が地球に残るための活動です。僕は今、35歳という大人である以上、社会を作っていく立場にあると思うので、自分自身が何になりたいかというより、どういう人として生きたいかが大切だと思っています。(この活動は)人のために、環境のために行うことが、最終的に自分にかえってくるというものです」と説明し、「俳優や監督はある意味虚像で、リバースは現実的な社会での活動と言えるかもしれません。リバースで出来ないことを、俳優や監督という表現の場で補っているのだと思います」と語った。

また、セイジを演じる西島秀俊と“僕”役の森山未來について「西島さんは立っているだけで雰囲気がある方で、ちょうど体も絞られていた時だったので、言葉ではなく体で発する人でした。元々、人とは違うチャンネルを発する俳優さんだと感じていました。森山君は、現場にも自転車でやってきて、危ないからやめてとは言ったのですが、それが気持ちを現場の真っ只中に持っていく要素だったようです。協業でき、とても楽しい俳優と監督の関係でした」と満足気。

本作がどういう作品になったか問われると、「本質的に人間がきちんと生きることを描いています。資源が無限にあると思っていたのに、今、その考えをシフトチェンジしないといけなくなっている。自然と人間の関わりや、大きく傷付いた人たちが、どう次のステップへ進むかを描いているので、なるべく展開を多くして、皆さんを飽きさせないような内容になるよう努力しました」と明かした。

また、次回作についても構想があるのか聞かれると「常にテーマは持っていますが、そのテーマが望まれる時が来たら、次の作品を作りたいと思っています」とし、「1作目は自分のために作っていたのですが、今回は自分のためにエゴで映画を撮らなくなったというのが一番大きな違いで、とても幸せな時間でした」と笑顔で会見を締めくくった。

公開情報 ギャガ+キノフィルムズ配給「セイジ-陸の魚-」は2012年2月18日(土)からテアトル新宿他公開
公式サイト:http://www.seiji-sakana.com/

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