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萩原慎一郎の歌集「滑走路」映画化、2020年秋公開(2020.03.27)

いじめや非正規雇用など自らの経験をテーマに短歌を発表し続け、32歳で命を絶った“非正規歌人”萩原慎一郎の歌集「滑走路」が水川あさみ、浅香航大、寄川歌太の出演で映画化され、角川配給により2020年秋に全国公開される。

2017年に角川書店から刊行された「滑走路」は、萩原慎一郎初の歌集にして遺作であり、苦難の中で生きる希望を歌った295首は、苦悩を抱える人へのエールとして共感を呼び、自費出版がメインの歌集において累計8刷3万0500部という異例のヒットを記録した。その歌集から着想を得て、劇場アニメ「ジョゼと虎と魚たち」が今夏の公開を控える桑村さや香がオリジナルストーリーとして脚本化し、「マチネの終わりに」など数々の作品で助監督を務めてきた大庭功睦がメガホンをとった。既に撮影は終了しており、大庭監督は「桑村さんとの脚本作り、また撮影現場において常に心がけていたのは、萩原さんの『繊細な感受性、優しい眼差し』を失わないことです」と明かし、萩原氏の家族は「慎一郎が空を飛ぶための翼になると願った三十一文字が、皆様の心に届きますよう祈っております」(両親)、「兄は文学史に名を刻んでゆくと僕は確信しています。映画となる今こそ、萩原慎一郎の真骨頂を見せる時です」(弟・健也氏)とコメントを寄せている。30代後半に差し掛かり、将来への不安を抱える切り絵作家の主人公・翠を演じる水川は「萩原さんの短歌は読む人の心にそっと寄り添いながらも包み込み、心に響くエールをくれるなと思いました。原作同様に、観ていただいた人の心に寄り添う作品になっていれば嬉しいなと願っています」とし、非正規雇用者の自殺問題に向き合いつつ、自らも過重労働に苛まれる厚生労働省の若手官僚・鷹野役の浅香は「多くの人がなにかと生きづらさをどこかで覚えるこの時代に、ささやかな希望を見いだせる、止まり木の様な作品だと思いました。キャスト・スタッフ共に高い緊張感のなか撮影を終えた今、仕上がりをとても楽しみにしています」とコメント。また、幼馴染をかばったことでいじめの標的にされる中学2年生の学級委員長役を演じた寄川は「大切なものを守ること、それを貫くことで自分が辛い状況になっていく。そこから逃れたいけれど、人を傷つけたくない。前を向いて歩いていくんだ。この一つ一つの思いを大切に演じ、そして僕自身葛藤もしました」と語っている。

(3月25日付 日刊興行通信より)

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