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7分以上に及ぶ大スピーチで大林宣彦監督が会場を沸かす!「第91回キネマ旬報ベスト・テン」表彰式(2018.02.13)

日本で最も歴史のある映画賞「第91回キネマ旬報ベスト・テン」の表彰式が2月12日(月)に行われ、「あゝ、荒野」で主演男優賞と助演男優賞を共に受賞した菅田将暉とヤン・イクチュンはキスする仕草を見せ会場を沸かせた。昨年は多忙な1年を過ごした菅田だが「ありがたいことに『菅田君とやりたい!』と言って下さる方々の目を見ると、幸せで『是非!』となってしまう。体も元気なので頑張っていきたい」と決意を新たにし、ヤンも自身が監督・主演した「息もできない」以来のキネ旬での受賞ということで「家にあるトロフィーとこのトロフィーを結婚させようと思う」とお茶目に語り、「日本映画の歴史の1ページに残る作品に出演できたことを噛み締めています」と喜びを表現した。

「花筐/HANAGATAMI」で日本映画監督賞を受賞した大林宣彦監督は、ジャーナリズムとして映画の歴史を辿ってきたキネマ旬報を称え、表彰式前に観客と共に鑑賞した日本映画作品賞の「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」の石井監督については、「こんな素晴らしい主観的で個人的なアマチュア映画のような作品が商業劇場でかかる時代になった。アマチュアはプロより下と皆さん思うかもしれないが、東宝から離れて『俺の信じる俺の映画を作る』と言い、原発反対映画やハワイで負け戦をしたアメリカ人の姿などを描いたのはアマチュア作家・黒澤明だった訳です。そういう意味で今の若い人たちはアマチュア。作りたい映画を作っている」と称賛。

そして、「私は制度というものが嫌いで、絵を描くように自分の作りたい映画を作ってきたんですが、『こんなものは映画じゃない』と言われ続けました。それがどうやらこうして映画の仲間入りをさせていただき、個人映画作家としか名乗れなかった私が、映画監督賞をいただくというのも面白い事件ではないかと思います。素直にありがとうございます。新藤兼人先輩は99歳まで映画をお作りになった。長生きできる時代になり、このまま平和が続けば、あと30年は作りたい!」と意欲を示し、司会者から体調を気遣われると「ガンごときで誰が死ぬか!と思うんですよ」と力強く語り、会場は大きな拍手で包まれた。

「彼女がその名を知らない鳥たち」で主演女優賞を受賞した蒼井優は「フラガール」等で助演女優賞を受賞して以来となり、「この11年でどれだけ成長できたのか?なりたい役者像に何%近づいたのか?というと2%くらいで、沢山の素晴らしい人との出会いでここに立たせていただいています。これからも素敵な方たちに手を差し伸べていただいて、しっかりその手を信じて、これからの98%を頑張りたいです」と語り、「幼な子われらに生まれ」で助演女優賞を受賞した田中麗奈もデビュー作「がんばっていきまっしょい」以来20年ぶりの受賞ということで、「昨日スピーチを考えていたら目頭が熱くなりました。受賞インタビューを受けていた時に(キネ旬の)編集の方が泣いてしまって、ずっと見守ってくださっていたことを感じて、ありがたい気持ちで一杯になりました」と明かした。

【第91回キネマ旬報ベスト・テン表彰】
▽日本映画作品賞=「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」
▽外国映画作品賞=「わたしは、ダニエル・ブレイク」
▽文化映画作品賞=「人生フルーツ」
▽日本映画監督賞=大林宣彦「花筐/HANAGATAMI」
▽日本映画脚本賞=石井裕也「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」
▽外国映画監督賞=ケン・ローチ「わたしは、ダニエル・ブレイク」
▽主演女優賞=蒼井優「彼女がその名を知らない鳥たち」
▽主演男優賞=菅田将暉「あゝ、荒野」「火花」「帝一の國」「キセキ―あの日のソビト―」
▽助演女優賞=田中麗奈「幼な子われらに生まれ」
▽助演男優賞=ヤン・イクチュン「あゝ、荒野」
▽新人女優賞=石橋静河「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」「PARKS パークス」「密使と番人」
▽新人男優賞=山田涼介「ナミヤ雑貨店の奇蹟」「鋼の錬金術師」
▽読者選出日本映画監督賞=岸善幸「あゝ、荒野」
▽読者選出外国映画監督賞=デイミアン・チャゼル「ラ・ラ・ランド」
▽キネマ旬報読者賞=立川志らく(連載「立川志らくのシネマ徒然草」により)

公開情報 公式サイト:https://www.kinenote.com/sp/kinejun_best10/

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