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行定勲監督が津川雅彦の“死と生の狭間”を生きる姿を目撃!「アジア三面鏡」シリーズ劇場公開記念記者会見(2018.10.04)

日本を含むアジアの気鋭監督3名が一つのテーマを基にオムニバス映画を共同製作するプロジェクト「アジア三面鏡」の第2弾「アジア三面鏡2018:Journey」が本年の東京国際映画祭でワールドプレミア上映されるのに先駆けて、第1弾「アジア三面鏡2016:リフレクションズ」の劇場公開が決定し、記者会見が日本外国特派員協会で10月3日(水)に行われた。第1弾より行定勲監督(「鳩 Pigeon」)、第2弾より松永大司監督(「碧朱」)が登壇し、東京国際映画祭の久松猛朗フェスティバル・ディレクター、「Japan Now」部門の安藤紘平プログラミング・アドバイザー、国際交流基金の安藤裕康理事長も出席した。

「アジア三面鏡2016:リフレクションズ」は「アジアで共に生きる」というテーマのもと、フィリピンからブリランテ・メンドーサ監督(「SHINIUMA Dead Horse」)、日本から行定勲監督(「鳩 Pigeon」)、カンボジアからソト・クォーリーカー監督(「Beyond The Bridge」)が参加した。行定監督は「僕自身アジア映画に影響を受けていたので、恩返しの気持ちで取組みました。舞台にしたマレーシアにはヤスミン・アフマドという素晴らしい女性監督がいて、既に他界されてしまったが、彼女の映画から知ったマレーシアの良さ、情緒、空気感が自分の映画と融合されたらどうなるのか?憧れのアジアの映画人と共に作る映画は何か新しいものになるのでは?と期待して作り上げました」と振りかえった。

「鳩 Pigeon」が今年8月に逝去した津川雅彦の最後の主演作となったことについて行定監督は「津川さんは海外での撮影が大嫌いなんですが、私の祖父をイメージした主人公の風貌と津川さんが重なり、オファーしたところ、どういう訳か参加して下さいました。そして『死と生の狭間に存在するような役なんだね』とおっしゃり、撮影までに7、8キロ痩せて来られて、役柄を体現するような鬼気迫る姿はマレーシアの女優に恐怖を抱かせるほどでした。饒舌な芝居をされるイメージがあったんですが、ただそこに存在することを重視されていました。ラストに近い海辺のシーンの時、『死と生の狭間では結局人は何もできないんだな』とポツンとおっしゃったのは記憶に深く刻まれています」と故人を悼んだ。

新作となる「アジア三面鏡2018:Journey」は「旅」をテーマに、中国からデグナー監督(「海」)、日本から松永大司監督(「碧朱」)、インドネシアからエドウィン監督(「第三の変数」)が参加している。第31回東京国際映画祭で10月26日(金)にワールドプレミア上映されることが決定しており、10月12日(金)からの「アジア三面鏡2016:リフレクションズ」の劇場上映に続き、11月9日(金)から新宿ピカデリー他で公開される。「碧朱」について松永監督は「ミャンマーで撮影する前にハワイで長編2作目を撮影していた経験が大きくて、海外のクルーと一緒に映画作りをすることは、自分の作家性を広げる一つの可能性になると感じました」とコメント。

さらに「撮影クルーは中国、インドネシア、ミャンマー、イギリスと色々な国のメンバーで構成されていて、日本の考え方と違うことも多く勉強になりましたし、もっとこういう環境で成長したいと思いました」と明かした。オムニバス3作品を通してインドネシアの俳優ニコラス・サプットゥラが出演していることについては「他の2名の監督と3作品の楔のようなテーマを設け、視覚的なものにするかどうかなど話し合いました。各々が作りたい作品の骨格が出来てきて、エドウィン監督の作品にニコラスが出ることとなり、どこの国の人かわからないような設定に、自分の作品でも使ってみたいと思い、3作品に出演してもらうことになりました」と経緯を説明した。

公開情報 「アジア三面鏡2016:リフレクションズ」は2018年10月12日(金)〜10月18日(木)、「アジア三面鏡2018:Journey」は2018年11月9日(金)〜11月15日(木)、新宿ピカデリー他で限定公開
公式サイト:https://asian3mirror.jfac.jp/ja/

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