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「第38回藤本賞」は「万引き家族」の是枝裕和監督に決定(2019.05.10)

「第38回藤本賞」選考委員会が4月4日に開催され、2018年4月から2019年3月までの1年間に劇場公開された映画を対象に選考が行われ、「藤本賞」には「万引き家族」の是枝裕和監督が輝いた。

藤本賞は生涯で269作品を製作したプロデューサー藤本真澄氏の功績を讃えて設けられた賞で、毎年功績著しい活躍をした映画製作者を中心に表彰している。藤本賞には賞金50万円、特別賞、奨励賞、新人賞には賞金30万円並びに各賞に対し副賞が贈られる。選考委員会メンバーは、委員長に松岡功氏、委員に襟川クロ氏、樋口尚文氏、品田英雄氏、金澤誠氏、高井英幸氏。各賞と授賞理由は次のとおり。

▽藤本賞=是枝裕和氏(「万引き家族」の監督に対し)
実際にあった事件から発想したオリジナル脚本を、閉塞感を増す現代日本を背景に、犯罪でしか繋がれなかった血の繋がらない疑似家族の、家族を超えた絆を描くドラマとして映画化、カンヌ国際映画祭最高賞パルムドール他、海外での圧倒的な評価を得、日本でも幅広い観客層による興行的な成功も収めた同作を監督した功績に対して。

▽特別賞=若松央樹氏(「翔んで埼玉」の製作に対し)
30年以上前に発表され近年リバイバルヒットした埼玉県を自虐的に描いたギャグ漫画を題材に、意表を突く世界観とナンセンスな笑いを融合した異色コメディ作品として映画化、実際は埼玉愛に満ちた内容が埼玉県で予想を超える大ヒットを記録する他、全国に広がる一大ムーブメントを巻き起こした同作を製作した功績に対して。

▽奨励賞=増本淳氏(「劇場版コード・ブルー―ドクターヘリ緊急救命―」の製作に対し)
救命救急センターのドクターヘリに携わる医師と看護師たちの葛藤と成長を描いた連続ドラマをプロデュース、2008年の放送開始以来10年間で3シリーズ放映したロングシリーズとして熱いファンと共に育て上げ、その劇場版としてスケールアップさせた本作を、日本映画実写歴代第5位となる動員720万人を超える大ヒット作品として成功させた功績に対して。

▽新人賞=上田慎一郎氏(「カメラを止めるな!」の監督に対し)
37分に亘るワンカットのゾンビサバイバルから始まる緻密な構造の脚本を執筆、オーディションで選ばれた俳優たちとのリハーサルを経て挑戦に満ちた異色作として完成させ、都内2館での公開以来ネタバレ厳禁を暗黙のルールとして口コミで広がった結果、300スクリーンを超える公開に拡大、熱烈なファンに支持された前例のない話題作を作り上げた功績に対して。
 
なお、授賞式は5月31日11時半からパレスホテル東京で行われる。

(5月8日付 日刊興行通信より)

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