｢第45回日本アカデミー賞｣授賞式が3月11日（金）に行われ、作品賞をはじめ最多8部門で｢ドライブ・マイ・カー｣が最優秀賞を獲得した。濱口竜介監督は東日本大震災から11年を迎えたこの日の受賞ということで、｢当時、被害に遭われた方々にインタビューをさせていただき、こういう生命力を自分は（映像で）捉えていきたいと、生きる基盤になりました。一日一日の仕事が未来を作っていく。ほんの少しでもいい社会や世界にするというのは大げさかもしれないですが、今この場から始まると思っています｣とスピーチした。

｢ドライブ・マイ・カー｣は、第79回ゴールデングローブ賞で日本映画として62年ぶりに非英語映画賞（旧・外国語映画賞）を受賞するなど世界中で高い評価を得ており、今回の日本アカデミー賞の受賞により獲得した賞の数は100を超えた。最優秀主演男優賞に輝いた西島秀俊は｢毎日の本読みを通して相手の言葉に耳を澄ますことが、互いに影響を与えるんだと実感しました。今は世界が混乱し、いろいろな繋がりが途切れていますが、人との繋がりや魂の再生を描いた映画で賞をいただいたことは意味があると思います。人生や人の希望に寄り添うような映画にこれからも身を捧げていきたいと思います｣と述べた。

また、｢花束みたいな恋をした｣で最優秀主演女優賞を受賞した有村架純は｢私が作品に対してできることは少ないですし、限られていて、この作品にどういった影響を与えられるのだろうと不安になったりもしますが、幾度となく背中を押してくれたのは、これまで出会った方々がくれた言葉たちでした。いつも支えて下さりありがとうございます。これからも独りよがりな芝居をするのではなく、思いやりをもって芝居や現場、人に誠実であり続けたいと思います。一緒に戦ってくれる仲間を大切にし、精進して参ります。そして世界中が一刻も早く穏やかに過ごせますよう、祈っております｣と願いを込めつつ感謝した。

【第45回日本アカデミー賞最優秀賞受賞結果】
▽作品賞＝｢ドライブ・マイ・カー｣
▽アニメーション作品賞＝｢シン・エヴァンゲリオン劇場版｣
▽主演男優賞＝西島秀俊｢ドライブ・マイ・カー｣
▽主演女優賞＝有村架純｢花束みたいな恋をした｣
▽助演男優賞＝鈴木亮平｢孤狼の血 LEVEL2｣
▽助演女優賞＝清原果耶｢護られなかった者たちへ｣
▽監督賞＝濱口竜介｢ドライブ・マイ・カー｣
▽脚本賞＝濱口竜介／大江崇允｢ドライブ・マイ・カー｣
▽撮影賞＝四宮秀俊｢ドライブ・マイ・カー｣
▽照明賞＝高井大樹｢ドライブ・マイ・カー｣
▽美術賞＝原田哲男｢燃えよ剣｣
▽録音賞＝伊豆田廉明／野村みき｢ドライブ・マイ・カー｣
▽編集賞＝山崎梓｢ドライブ・マイ・カー｣
▽音楽賞＝岩崎太整／ルドウィグ・フォシェル／坂東祐大｢竜とそばかすの姫｣
▽外国作品賞＝｢007／ノー・タイム・トゥ・ダイ｣

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