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「第38回東京国際映画祭」東京グランプリは「パレスチナ36」(2025.11.06)

「第38回東京国際映画祭」が11月5日に閉幕し、1936年の英国統治下にあるパレスチナを舞台にしたアンマリー・ジャシル監督作「パレスチナ36」が東京グランプリ/東京都知事賞を受賞した。

クロージングセレモニーが行われたTOHOシネマズ日比谷では、はじめに10日間を振り返る映像が流れ、会期中に行われた黒澤明賞やエシカル・フィルム賞授賞式の模様や、センターピース作品「TOKYOタクシー」の上映の際に山田洋次監督に特別功労賞が授与された場面などが紹介された。

東京グランプリ/東京都知事賞を獲得した「パレスチナ36」のアンマリー・ジャシル監督は既に帰国していたが、「私たちの映画を選んで下さり、本当に光栄です。チームや私自身にとって、本作の制作に懸命に尽力して下さった全ての人たちにとって、大きな意味を持つものです。ありがとうございました」とビデオメッセージを寄せた。監督に代わって出演者のワーディ・エイラブーニがトロフィーと東京都知事賞を受け取り、小池百合子東京都知事は「東京から発信される映画の魅力が人々に届くこと、そして東京国際映画祭が創造性と多様性に満ちた文化の祭典として今後もますます発展していくことを期待しております」とコメントした。

総評としてコンペティション部門のカルロ・シャトリアン審査員長は「映画の幅がいかに広いかに向き合う仕事になりました。画一化している世の中において、多様性を尊重しました。私たち審査委員は様々な経歴があり、好みも異なりますが、全ての決定は合意の下、満場一致で賞を贈呈しています」と述べた。また、クロージング作品「ハムネット」からクロエ・ジャオ監督が登壇し、「最初の4つの長編は広く世界のあらゆる水平線を追いかけましたが、『ハムネット』はより内なる風景に目を向けました。観客の皆さんが感じたいことを、そのまま感じていただけたら」とアピールした。最後に安藤裕康チェアマンが閉幕宣言を行い、映画祭は終了した。

なお、映画祭の動員数(速報値)は、上映動員数が6万9162人(前年比112・3%)、その他リアルイベント動員数が9万3847人(同96・9%)。上映作品本数は184本(前年比88・0%)、上映作品における女性監督の比率は23・4%(昨年は21・9%)、ゲスト登壇イベント本数は184件(前年比103・4%)、海外ゲスト数は2557人(前年比93・9%)となった。

【コンペティション】
▽東京グランプリ/東京都知事賞=「パレスチナ36」(アンマリー・ジャシル監督)
▽審査員特別賞=「私たちは森の果実」(リティ・パン監督)
▽最優秀監督賞=チャン・リュル(「春の木」)、アレッシオ・リオ・デ・リーギ/マッテオ・ゾッピス(「裏か表か?」
▽最優秀女優賞=福地桃子/河瀨直美(「恒星の向こう側」)
▽最優秀男優賞=ワン・チュアンジュン(「春の木」)
▽最優秀芸術貢献賞=「マザー」(テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ監督)
▽観客賞=「金髪」(坂下雄一郎監督)

【アジア学生コンファレンス】
▽作品賞=「フローティング」(イ・ジユン監督)
▽審査委員特別賞=「永遠とその1日」(チュン・リーシュエン監督)、「エンジン再始動」(チョン・ヘイン監督)

【アジアの未来】
▽作品賞=「光輪」(ノ・ヨンワン監督)。

【エシカル・フィルム賞】
▽「カザ・ブランカ」(ルシアーノ・ヴィジガル監督)
【黒澤明賞】
▽李相日(監督)
▽クロエ・ジャオ(監督)

【特別功労賞】
▽山田洋次(監督)
▽吉永小百合(女優)

((c)2025 TIFF)

公開情報 公式サイト:https://2025.tiff-jp.net/ja/

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