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「半沢直樹」に倍返し!?豪華キャストで描く社会派エンタテインメント「人類資金」完成報告会見(2013.08.27)

旧日本軍の隠し資金“M資金”を題材に、「亡国のイージス」の福井晴敏と阪本順治監督が再びタッグを組んだエコノミック・サスペンス大作「人類資金」の完成報告会見が8月27日(火)に行われ、佐藤浩市、森山未來、仲代達矢らが登壇。脚本も手掛けた原作者の福井氏は「ゴツイ手触りの作品で、成立させるのに大変な企画でしたが、今は『半沢直樹』で経済ものに良い風が吹いている。池井戸さんとは江戸川乱歩賞の同期なので、この映画で“倍返し”できればと思っています!」と意気込みを見せた。

M資金の謎を追う内に事件に巻き込まれていく詐欺師の真舟に佐藤浩市、謎の多い“M”に香取慎吾、“M”の腹心である石に森山未來、防衛省の秘密組織に所属する高遠に紅一点となる観月ありさ。また、元日銀、現ベンチャー企業代表に岸部一徳、ロシア・極東ヘッジファンド代表にオダギリジョー、かつてM資金に関わったCIA構成員に豊川悦司、投資顧問会社の代表に仲代達矢。そして、ニューヨークの大手投資銀行員にヴィンセント・ギャロ、その銀行員に雇われる清算人(暗殺者)にユ・ジテと豪華キャスト陣が共演。

阪本監督は「M資金に興味を持ったのは、まだ僕が美術助手をしていた頃に高野孟さんの本を手にして、こういう題材にいつかチャレンジしてみたいなと思ったのがきっかけ。2006年に福井さんに原作をお願いし、7年かかってしまいましたが、今、このタイミングで発表できて良かった。『半沢直樹』は関係無しでね(笑)。今ある社会のルールを一回考え直した方がいいのではないか?と、日本の方々に向けて作った作品。僕等が手を付けなければ、誰も一生作れなかっただろうという自負があります」と自信を覗かせた。

主演の佐藤は「骨太なエンタテインメント作品になっています。M資金は都市伝説化していて、本当なのかもわからないということで、明確な答えは出せませんが、M資金を題材にしたエンタテインメント作品にしようということだったので、斜に構えるのではなく、ストレートに観客にボールが投げられればと思っています」と挨拶。

また、森山は「壮大なストーリーなので、お客さんの心に響くか、夢物語と斬り捨てられるのか、今から楽しみ。謎の人物役ということで、あまり多くは語れませんが、“M”と出逢って、腹心として関わってきた関係性は意識して演じました」と語った。

意外にも企業のトップ役は初めてという仲代は「M資金を人類資金に変えようと、父親、私、息子と3代にわたって、M資金にまとわりついたのか、つかれたのかという、私にとってはとても難しい役でした。監督や原作者の意に沿った演技ができたかどうか心配」と語ると、阪本監督は慌てて「とんでも無いですよ!仲代さんとは『座頭市 THE LAST』でご一緒しましたが、かつての『華麗なる一族』や『不毛地帯』のようなオールスター映画が無くなっている今、仲代さんには絶対に出ていただきたいと思いました。夜中の2時までかかったシーンも、仲代さんの気力と体力を肌で感じました」と恐縮しきり。

これに仲代も「当時は政治腐敗を徹底的に叩いた映画が多くあって、娯楽と社会派は分かれていましたが、この作品はエンタテインメントを含んだ社会的に意味を持つ映画になっていると思う」と応えた。

日本をはじめ、極寒の地ロシアのハバロフスク、35度を超すタイのカンチャナブリ、日本映画としては初となるニューヨークの国際連合本部での撮影と、4カ国にわたりロケを敢行。ウラジオストク国際映画祭で9月8日にワールドプレミア上映されることも決定し、阪本監督は「ロシアのフィルムコミッションの協力が無ければ出来なかった作品なので、改めて御礼を言わなければと思っていました。どこの国でもブラックマネーは存在するので、どう受け止められるか楽しみにしています」と語り、佐藤も「寒い地方の方々はシャイで勤勉と言いますが、本当にロシアのスタッフは新しいことを貪欲に吸収しようとしていて、協力的でありがたかったです」と感謝した。

公開情報 松竹配給「人類資金」は2013年10月19日(土)から全国公開
公式サイト:http://www.jinrui-shikin.jp/

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