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二宮が吉永に“かずなりさん”と呼ばれて上機嫌!「母と暮せば」クランクアップ会見(2015.08.12)

終戦から70年という節目に、山田洋次監督が作家・井上ひさしに捧げる「母と暮せば」のクランクアップ会見が8月12日(水)に行われ、山田監督をはじめ、出演の吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信が登壇。8月9日に長崎で行われた平和記念式典に吉永と共に参列したばかりの山田監督は「もの凄い暑さで気分が悪くなるくらい汗が出ましたが、70年前に5000度の熱で焼かれ、皮膚がただれた方々がどんなに辛かっただろうか、死骸の中から肉親を探す人たちがどんなに辛く悲しかっただろうかを考えました。改めて終戦70年という年にこの作品を作るというのは意義があることだと感じ、それに相応しいだけの作品になればいいなと思っているところです」と挨拶した。

井上ひさしが「父と暮せば」と対になる作品として、長崎を舞台に「母と暮せば」という題で舞台を構想していたことを聞いた山田監督が、原爆により死んでしまった息子と、遺された母親の交流を描き出した初のファンタジー作品。山田監督は「母と子の愛情の物語であり、息子の悲しい恋の物語であるけれども、戦争や平和について考えてくれたらいいなと思います。息子が死んでしまうことが、親にとってどんなに悲しいことか。亡霊になってでもいいから出てきて欲しいと願うのは、戦争かどうかに関わらず、愛する人を亡くしたみんなの思いで、そこで語られるドラマは深いものになると思いました」と語った。

製作発表の際にも山田監督は「こういう企画に出会える不思議というか、運命を感じている」と明かしていたが、撮影を終えて改めて「一番大事な映画になるのではと思っている」と語り、そんな監督の気迫を目の当たりにしていた吉永は「今回が一番監督の情熱を感じ、恐いほどでした。1カット、1カット、心から演出されていて、それに応えられず落ち込むこともあったのですが、息子が軽やかに演技をしているのを見て、助けられました」と笑顔を見せた。

また、吉永は平和祈念式典に参列したことについて「被爆者の方々や長崎の人々が平和への強い思いを持っていることを感じることができました。若い方たちの中には広島や長崎で何が起こったか知らない人たちが増えていると聞きますが、この映画を観て、あの時起こったこと、これから私たちがどう未来に向かって歩いていくべきかを考えていただけたらと思います」と明かした。

山田組初参加となる二宮は「長崎の原爆について勉強させていただき、体現させてもらいました。どう自分が考えるかは役を通して映画に置いてきたつもりです。皆さんにも観ていただいたら、それを感じていただけると思います」と語り、二宮演じる浩二の恋人を演じた黒木は「戦争をリアルには知らない世代ですが、監督や吉永さんからいろいろお話をうかがい、町子という前向きに生きていく女性を演じられました」とコメント。

町子の新たな恋人を演じた浅野は「監督とは『母べえ』でもご一緒しましたが、大切な映画に参加させていただき感謝しています。戦争で足を失くした男の役で、その辛さを役を通して感じました。僕は『父と暮せば』にも出ているので、いろんなことが頭の中でグルグル巡りました」と述懐した。

また、吉永との現場でのエピソードについて二宮は「和也(かずなり)さんと呼んでいただき、ドキドキしちゃいました。身内にもそう呼ばれたことがないので、僕の初めての人になりました!“かずや”と読み間違えられることが多くて、半ば“かずや”でもいいかと諦めていたのですが、吉永さんが『この人は“かずなり”さんですよ』と宣伝して下さっているようで、“かずや”でいいや!と思ってしまった自分をぶん殴ってやりたいです」とユーモアを交えて明かした。

これに対して吉永は「どうお呼びしたらいいか考えていたら、『小百合さん』と声をかけて下さって、距離がグッと近くなったんです。本当のお母さんになったような気持ちで、テレビで危険なことをしているのを見た時には『大丈夫かしら?うちの息子は』と思ってしまいます」と二宮を温かく見つめた。

最後に平和を願う大きな折鶴と、先日、山田監督と吉永が長崎で平和へのメッセージを書いたランタンが登場し、それぞれがメッセージを発表。吉永は「核の無い世界を祈って」、二宮は「笑ってみんなで明日を迎える」、黒木は「幸せに暮せる毎日を」、浅野は「喜びをありがとう」、そして山田監督はシンプルだが強いメッセージ「反核」と書き込んだことを明かした。

公開情報 松竹配給「母と暮せば」は2015年12月12日(土)全国公開
公式サイト:http://hahatokuraseba.jp/

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