｢アリス・イン・ワンダーランド｣｢チャーリーとチョコレート工場｣など奇想天外な物語をイマジネーション豊かに映像化することで定評があるティム・バートン監督が新たに挑むファンタジー｢ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち｣の来日記者会見が1月31日（火）に行われた。会場にはティム・バートン監督の作品が大好きだという松井愛莉がミス・ペレグリンに扮して花束を持って駆け付け、Instagramで人気の双子姉妹“りんか＆あんな”も劇中に登場する双子のキャラクターさながらの衣装で登場し、バートン監督を驚かせていた。

周囲になじめない孤独な少年ジェイクは、祖父の遺言に従って訪れた孤島の森にたたずむ屋敷で、美しくも厳格なミス・ペレグリンと出会う。そこには、ふわふわと宙に浮かぶブロンドの美少女、悪戯が大好きで体が透明な男の子など奇妙なこどもたちが住んでいた。やがてジェイクも自らに宿ったある“力”に気付き、屋敷に忍び寄る恐るべき脅威に立ち向かっていく。ジェイクに｢ヒューゴの不思議な発明｣のエイサ・バターフィールド、ミス・ペレグリンに｢ダーク・シャドウ｣でもバートン監督と組んだエヴァ・グリーン、その他、テレンス・スタンプ、ジュディ・デンチ、サミュエル・L・ジャクソンらが出演している。

全米でロングセラーとなっているランサム・リグズの｢ハヤブサが守る家｣の映画化について監督は、｢キャラクターの設定などはいくつか変更している点がある。エマは原作では火を操る女の子だが、宙を浮く少女がいたら詩的で美しいものになるんじゃないかと想像し、変えてみた。でも原作の精神は保つように心がけたし、詩のような美しさをとにかく損なわないように努めたよ｣と語り、原作者のリグズからのアドバイスも受けながら映像化したことを明かした。

ミス・ペレグリンは時間を操作する能力を持っているが、監督自身が時間を巻き戻したりすることができれば、いつに戻りたい？と質問を受けると、｢僕は時間の管理がめちゃくちゃな人間なんだ。今日が何日なのかもわからないくらいだよ。だから時を戻したり、未来へ行ったりするよりも、今を生きることで精いっぱい。今日一日、最善を尽くして過ごしたいと思っているんだ｣と回答。

奇妙なこどもたちが次々と登場するが、その演出方法については、｢今回は演技未経験の子もいたので、できるだけセットや家も実物を使って、極力CGに頼らないことで、実際に感じてもらいながら演じられるようにしたんだ。みんなスタントも自分でこなして、アクション・ヒーローのような気分になったんじゃないかな。でも基本的に子どもたちって言うことを聞いてくれないものだよ｣と苦笑いしつつも、現場を楽しんでいた様子。

本作では主人公のジェイクが、ありのままの自分と驚くべき宿命を受け入れて成長していく姿を描いているが、｢自分自身の経験からしても、『この人ちょっと変わってるな』と思われる人は、芸術性に富んでいたり、物静かだったりする。でもみんないい人たちなんじゃないかな。ちょっと奇妙で他の人と違っていてもいいんだよ、実際にはふつうの子供なんだよ、ということが大切だと思い、この作品を作ったんだ｣と明かした。

エヴァ・グリーンとの再タッグについては、｢彼女はサイレト・ムービーの女優のように、言葉を語らなくても伝えられる女優だと思ったし、ユーモアや感情的な部分や謎めいた雰囲気などいろんな要素を演じられる人だと感じた。それにミステリアスなエヴァなら鳥（映画ではハヤブサ）に変身できるかも！と思わせてくれるからね｣と太鼓判を押し、これまで数々の映画で組んできたジョニー・デップの女性版として今後の起用も匂わせた。

そして、松井愛莉が監督に花束を贈呈すると、｢こういう場で花束をもらったことがなかったから、なんだか美人コンテストで優勝したような気分だよ｣と照れ笑い。さっそく作品を観たという松井も｢観終わって興奮状態が落ち着いてからも印象に残っているシーンがあり過ぎて！現実的だったり非現実的だったり、あの世界観がステキでワクワクドキドキ楽しめました｣と笑顔で監督に語りかけ、最後にマスクを取ったりんかちゃん、あんなちゃんと共に写真撮影に応じた。