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「メアリと魔女の花」のスタジオポノックによる短編劇場第1弾「ちいさな英雄」発表会見(2018.03.27)

昨年ヒットを記録した「メアリと魔女の花」のスタジオポノックによる新プロジェクト「ポノック短編劇場」の第1弾として8月24日(金)から全国公開される「ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―」の発表会見が3月27日(火)に行われた。スタジオジブリを2014年末に退社後、スタジオポノックを立ち上げた西村義明プロデューサーは「『メアリと魔女の花』で精根尽き果て、周りの状況を見るとアニメーションが増え続け、配信等により十分過ぎる映像が溢れる中で、今までと違う所から前に進まないといけないと思いました。『メアリ』のスピンオフを作る話もあったのですが、それならば短編を作って新しいチャレンジをした方が、また新たな才能に出会えるのではないかと思いました」と経緯を明かした。

今回の短編劇場は、これまでスタジオジブリで手腕を発揮してきた3名の鬼才が集結。「メアリと魔女の花」の米林宏昌監督が自身初のオリジナルストーリーで挑むのは、カニの兄弟の大冒険ファンタジー「カニーニとカニーノ」。高畑勲監督の右腕として活躍してきたアニメーション演出家・百瀬義行は、母と少年の愛と感動の人間ドラマを描く「サムライエッグ」。宮崎駿監督作品の原画や作画監督を担ってきたアニメーター・山下明彦は、“見えない男”の孤独な闘いをスペクタクルアクションで魅せる「透明人間」。この3作品にオープニング&クロージング映像が加わって、7月に完成予定となっている。

東宝の市川南常務取締役は「西村さん、米林監督から3人の実力派が一堂に会して短編を作るという提案をいただき、二つ返事で『やろう!』ということになりました。東宝としては短編の配給は初となりますが、スタジオポノックの新たな挑戦を全面的に支えるべく、夏休みに100スクリーン以上を予定しています。3人の監督による一筋縄ではいかない不思議な魅力をもった作品が出来上がると思うので、応援よろしくお願いします」とコメント。チケット料金については検討中ということだが、短編作品ということで通常より安く設定することも明かした。

常に新しいアニメーションを作り出す先駆者として宮崎駿、高畑勲、両監督の後ろ姿を見てきたこと、新しい表現でなければ企画が成立しないディズニー/ピクサーがトップに立ち続けていることを踏まえ、「短編アニメーションだから出来る表現があると思うし、価値ある作品を作り、スタジオポノックが次の一歩に挑戦するためのレーベルとして短編3作品を提示したいと思いました。アイデアもどんどん出てくるし、一人一人のクリエイションや才能が発揮できる場として、いい現場になり得ると思いました」と熱くコメント。

「ちいさな英雄」というタイトルに込めた想いについては、「先行きが見えない今、何を世の中や子どもたちに提示できるかと考えた時、超人的なスーパーヒーローではなく、僕らの身の回りにいる、一生懸命生きて何かを実現している人たちがヒーローであるということを伝えたいと思いました」と明かした。また、2年に1回のペースで発表できればとし、「スタジオポノックの短編劇場『次は何が起こるだろう?』と期待を持っていただけるようなレーベルになればいい」と抱負を語った。

また、宮崎駿監督からの「アニメーションはもっと豊かになれる。作り手のくだらない意見を表明するだけの道具にしちゃいけないんだ」という言葉が嬉しかったとし、「高畑さんも、一つの表現に飽きて次のことをやっていこうとする人。アニメの豊かさを信じて追及し続けてきた2人が作りあげて下さった土台に、僕らが胡坐をかいていてはいけないと思うんです」と真摯な気持ちを明かした。なお、声優陣にはオダギリジョー、尾野真千子、田中泯が決定しており、音楽プロデューサーの中田ヤスタカ、音楽家の村松崇継も参加する。

(C)2018 STUDIO PONOC

公開情報 東宝配給「ポノック短編劇場 ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―」は2018年8月24日(金)全国公開
公式サイト:http://www.ponoc.jp/eiyu/

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