ニュース

朝起きるとカメムシが・・・岩田剛典が河瀬直美監督の洗礼を浴びる!「Vision」完成報告会見(2018.04.26)

カンヌ国際映画祭をはじめ世界から高い評価を受ける河瀬直美監督が、生まれ故郷である奈良を舞台に、フランスの名女優ジュリエット・ビノシュと、「あん」(15年)、「光」(17年)でもタッグを組んだ永瀬正敏をダブル主演に迎えて放つ渾身の一作「Vision」の完成報告会見が4月26日(木)に行われた。 前日に完成したばかりの作品を観たという永瀬は「毎回、河瀬監督とご一緒した作品を観た後は、すぐには立ち上がれないんですが、今回は家に帰ってから心がどんどん震えてきて、眠れずに徹夜でここへ来ました」と興奮冷めやらぬ様子で挨拶した。

紀行文を執筆しているフランスの女性エッセイスト・ジャンヌは、奈良・吉野の山深い森を訪れる。「1000年に1度、姿を見せるという幻の植物“Vision”を探している」と旅の途中で出会った山守の智に告げるが、智も「聞いたことがない」という。ジャンヌは何故自然豊かな神秘の地を訪れたのか。山と共に生きる智が見た未来(ビジョン)とは・・・。長編10作目となる河瀬監督は、本作の製作経緯について「昨年のカンヌ映画祭でジュリエットと出会い、彼女の『日本の奥深い森に行ってみたい』という言葉があり、そこから3カ月で準備して、吉野の人々のサポートもあって撮影することが出来ました」と明かした。

河瀬組には初参加となり、役柄を“鋭い感覚を持つ女”と紹介された夏木マリは「初めて知りましたよ」と驚きつつも「昨日初めて観て、ストーリーが新鮮というか、台本と全然違っておりましたので(笑)、河瀬組の作り方は現場で集めたパーツを組み合わせていくのだなと思いました」と明かし、智と生活を始める謎の青年・鈴を演じた岩田剛典も「河瀬メソッドの洗礼を沢山受けました。演じるのではなく、そこに生きる、暮らすことを求められたので、1カ月前から森に住んで欲しいと言われました」とコメント。

しかし実際にはライブツアー中で山籠もりは断念したそうだが、「劇中でジュリエットが住むことになる納屋に少し滞在したんですが、朝起きるとカメムシが顔に3匹張り付いていて(笑)、早々に風邪もひいてしまい下山しました。初号を観て、監督の徹底したこだわりというか、その地に根付いて暮らすという意味がわかり、刺激的な撮影でした」と振り返った。永瀬からも「岩田君は特殊伐採の訓練も受けていて、木にスルスル登って行ってカッコ良かった」と称えられたが、「めちゃめちゃ筋肉痛になりましたよ」と苦笑い。撮影直後は三代目J Soul Brothersのメンバーから「本当に森の人になってるよ」と心配されるほどだったそうだ。

夏木も2週間、山で生活したということで、「智がヨモギ団子を食べるシーンは、実際にヨモギを摘みに行くところからはじめて、沢山作って冷凍用と撮影分に分けて、ヨモギ団子のプロになりましたよ。監督からは、1時間歩いた所にあるお地蔵さんに毎日、花と水を持って行くようノルマをいただいて、山で暮らせるようになりました。iPhoneも取り上げられ、SNSも出来ないから、商売あがったり(笑)。でも1000年生きている設定なので、毎日お粥を食べ続け、すっかりダイエットも出来たし、いくつになっても新しい経験ができると感じました」とやや自虐的に明かした。

ジャンヌの通訳兼アシスタントとして同行する花を演じた美波は、そんな2人の苦労を横目に、「私はジュリエットとお醤油工場に見学に行ったり、ボタニカルガーデンに行ったりしました」と笑顔を見せ、「彼女のすごいファンだったので、本当に幸せで、役を追求する姿やイデオロギーを生で感じることができたし、神道や古事記に興味を持ってらっしゃったので、それを通訳するのも難しくて、痺れる日々でした」と幸せそうに語った。

また、音楽を手掛けたジャズピアニストの小曽根真もテーマ曲を生演奏し、「今も映像が出てきて、即興で音を足したりしてしまったんですが、自分で弾きながら感動してしまいました」と語り、大きな拍手に包まれた。最後に河瀬監督は「吉野の森は500年の植林の歴史がありますが、その担い手がいなくなってきています。こんなに美しい山が衰退してしまうのは、人間にとっても負の遺産になるだろうと思った時、本作のテーマが膨らみました。吉野の森は人々を引き寄せました。日本を代表する俳優陣の気配が『Vision』という映画に集結しています。この人たちに会いたい、その思いを持って映画を観ていただければと思います」と締めくくった。

公開情報 LDH PICTURES配給「Vision」は2018年6月8日(金)全国公開
公式サイト:http://vision-movie.jp/

バックナンバー

ページのトップへ