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木村大作監督「岡田准一は三船、勝新を超えた!」と絶賛「散り椿」完成報告会見(2018.08.28)

キャメラマンとして数々の名作を手掛け、「劔岳 点の記」「春を背負って」の2作品では監督を務めた日本映画界の巨匠・木村大作が、葉室麟の同名時代小説を映画化した「散り椿」の完成報告会見が8月27日(月)に行われ、木村監督をはじめ、岡田准一、西島秀俊、黒木華、池松壮亮、麻生久美子が登壇した。「追憶」の時にはキャメラマンと主演という形でタッグを組んだ木村監督から再びオファーを受けた岡田は「“美しい時代劇を創ろう”と誘っていただき大変光栄でした。しびれる現場を体験させていただきました」と笑顔で挨拶した。

かつて藩を追放されるも、妻の最期の願いを胸に藩の不正や権力に立ち向かっていく瓜生新兵衛を中心に、朴訥で不器用だが清廉に生きようとする侍たちの“凛とした生き様”と、愛する女性のために命を懸けて闘う“切なくも美しい愛の物語”を描き、脚本は黒澤明監督の助監督を長年務めてきた小泉堯史が手掛けている。昨年5月15日から撮影を開始し、富山、滋賀(彦根)、長野(松代)で時代劇としては異例の全編オールロケーションを敢行、同年7月5日にクランクアップした。

岡田は「本格時代劇の主演というプレッシャーを感じていた時、木村監督に『本当に美しいものをどう表現するか共に探そう』と言われ、『大作さんについていく!』という気持ちになりました」と心情を吐露。新兵衛の妻・篠を演じた麻生は「出番はあまり多くないのですが、撮影に入る前に監督から篠の心情にふれる内容のお手紙をいただき、それが篠の台詞になっていて、演じる上でとても助けになりました」と明かした。

また、新兵衛の離郷に関わる因縁を持つ榊原采女を演じた西島は「『劔岳』に出演された先輩から『木村監督の現場は大変だ。あれは撮影じゃない。修行だ!』と聞き、辛い現場が大好きなので楽しみでした(笑)。ピリピリしているのかと思いきや、実際は監督が『馬鹿野郎!』と怒っても、それが愛のある馬鹿野郎なので、一番下のスタッフまで笑顔の絶えない、理不尽さが全く無い、映画愛にあふれた現場でした」とコメント。

篠の妹・里美を演じた黒木は「厳しい方だとは聞いていたのですが、岡田さんから『監督を大ちゃんと呼んであげて』と言われていたので、さり気なく言ってみたら、照れたように笑われて、意外とシャイな方だと思いました。監督自身がムードメーカーでした」と明かし、篠の弟・藤吾を演じた池松も「僕は平成2年生まれのデジタル世代ですが、大作さんが今まで培ってこられた映画の様々なことを伝えていただく貴重な体験になりました」とコメントした。

俳優陣からの愛情溢れるコメントを受け、木村監督は「僕は演出なんかしてません。今回のキャスティングは自分のやりたいように押し通させてもらった。役にぴったりだと思える俳優をキャスティングできた!その時点でもう何も必要ない。俳優がどう演じるか、僕自身が楽しみにしてるんだから!」と豪快に応えた。

今回は「今まで見たこともないような殺陣」を創造しようということで、岡田は撮影の3ヶ月前から、作っては壊し、作っては壊しという作業を繰り返してきたという。そんな岡田の殺陣について監督は「スピードが素晴らしい。僕が見てきた三船敏郎、高倉健、仲代達矢、勝新太郎を上回る!」とべた褒め。見所の一つに挙げたラスト近くの殺陣については、一切カット割りせず、多重カメラで、ワンカットで撮影を行い、木村監督はこのシーンを撮り終えて倒れてしまったくらい集中していたという。

岡田は「黒澤監督に観てもらえる作品を作りたい、という気持ちで作品を作っている大作さんに、選んでもらえたことが光栄。人生の転機になる作品にしたい。代表作になるといい。認めていただけるといい。と思っています」と熱い思いを語った。なお、本作は8月23日から開催中の「第42回モントリオール世界映画祭」のワールド・コンペティション部門に出品されている。

公開情報 東宝配給「散り椿」は2018年9月28日(金)全国公開
公式サイト:http://chiritsubaki.jp/

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