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ブラッド・ピットが宇宙飛行士の毛利さんと山崎さんに逆質問!「アド・アストラ」来日記者会見(2019.09.13)

先日開催された「第76回ベネチア国際映画祭」で初披露されたスペース・アドベンチャー「アド・アストラ」で主演・製作を務めたブラッド・ピットが来日し、9月12日(木)に日本科学未来館で記者会見を行った。本作ではピットたっての希望でアジアは日本のみのプロモーションとなり、約2年4カ月ぶりの再訪に「今回は早めに来て滞在を満喫しようと思っていたんだけど、台風で1日遅れてしまってね。でもやりたいことは一杯あって、京都に行って古い建築や庭園も見たいし、鯉の養殖も見に行きたい!」と目を輝かせた。

地球外知的生命体の探求に人生を捧げた英雄の父を見て育ち、自身も宇宙飛行士の仕事を選んだロイ・マクブライドだったが、その父は43億キロ離れた太陽系の彼方で行方不明となっていた。父が生きているという驚くべき真実を軍上層部から聞かされたロイは、危険な実験を抱えたまま消息を絶った父の謎を追うべく、宇宙へ旅立つのだった。監督はジェームズ・グレイ、共演はトミー・リー・ジョーンズ、ルース・ネッガ、リヴ・タイラー、ドナルド・サザーランド。

今回は主演と製作の両方を担っていることについて「責任は確かに増えるね。昼間は俳優で朝と夜はプロデューサーとして活動するような感じで、撮影が終わっても編集や音楽などにも関わっていくから、まるでルービックキューブをしているみたいだよ。でも今回一番大変だったのは、重い宇宙服を着て演じなければならなかったことだね。ワイヤーに吊るされて、ピーターパンのようにクルクル回転させられたり、上がったり下がったりさせられて、一度限界まで吐かずにいられるかテストされたよ」と笑って明かした。

SF作品への出演を決めた理由については、「このジャンルは優れた作品がいっぱいあるので、挑戦するからには今までにないものにしたかった。長年の友人でもある監督のジェームズ・グレイが素晴らしい企画を持ってきてくれて、1人の男の心の葛藤と自分探しの物語だった。主人公のロイは人生が上手くいかず、自分の存在価値も見つけられずにいたが、銀河の彼方で自身と向き合わなければならなくなる。映画の魅力はそういった人間の葛藤にスポットが当てられるところで、それは喜劇でも悲劇でも表現できるのが素晴らしい。宇宙はそういう人間のミステリーを比喩的に象徴しているんだ」と語った。

会見が行われた9月12日は、宇宙飛行士の毛利衛さんが1992年に日本人として初めて宇宙へ飛び立った日として「宇宙の日」に認定されており、会場となった日本科学未来館は毛利さんが館長を務めている。地球ディスプレイ「Geo-Cosmos(ジオ・コスモス)」展示エリアでの会見にピットも「ここは最高の会見場だね!」とご満悦の様子で、特別ゲストとして毛利さんと山崎直子さんが駆け付けると「本物の宇宙飛行士だ!僕からも質問したいのですが、宇宙からの景色を見た時の気持ちはどうでしたか?」と興味津々。

毛利さんは「誰が見ても宇宙は美しいということを伝えたいと思いました。子供の頃に、ガガーリンが『地球は青かった』と言っているのを聞いて、どんな青さなのだろう?と思い、宇宙飛行士になりたいと思いました。実際に見た時には、深い感慨を覚えました」と明かし、山崎さんも「地球は青い、丸い、美しいということはわかっていますが、理屈でなく体にストンと入ってくるような、地球自身が生きているように感じました。宇宙へ行くのは冒険でもあるんですが、どこか懐かしく、故郷に帰ったような気持ちがしました」とコメント。

また、作品の感想について毛利さんは「宇宙飛行士はチームワークやミッションが一番大切なんですが、それを演じるピットさんの表情がとても繊細で、その時、その時が本物以上だと思えて、すごい俳優さんだと驚かされました」と感嘆し、山崎さんも「宇宙飛行士としては、子供を残して行かなければならない、家族に心配をかけてしまうという立場にあり、映画を観て改めて心をえぐられる思いでした。他の人と関わることで自分を知る。本当に共感できる映画でした。いつかピットさんが宇宙を旅する日を見てみたいです」と笑顔を見せた。

最後にピットが「あとひとつ、聞いてもいいですか?もう一度、宇宙に行きたいですか?」と尋ねると、山崎さんは「行きたいです!」と即答し、毛利さんも「次は月ではなく、火星に行きたいです!」と答え、会見は終了した。

公開情報 20世紀フォックス映画配給「アド・アストラ」は2019年9月20日(金)全国公開
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/adastra/

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