10月23日（月）から11月1日（水）まで開催される｢第36回東京国際映画祭｣のラインナップ発表記者会見が9月27日（水）に行われた。今年は新型コロナ感染症の位置づけが5類に移行してから初の開催となることから更なる飛躍を目指し、上映作品数は前年より25％増の219本、海外ゲストも600人以上を招いて華やかに開催する。また、昨年までのフェスティバル・アンバサダーから名称を変更したフェスティバル・ナビゲーターには、安藤桃子監督が就任し、映画祭を盛り上げていく。

安藤監督は｢ナビゲーターという言葉には、世界中からゲストを呼べなかったコロナ禍を経て、東京国際映画祭がどこへ向かっていきたいのか？という道を示していく意味合いが込められていると思っています。ぶっ飛ぶほど光栄で嬉しいです。東京という世界から人々が集まる場で国際映画祭が行われている事に私も注目してきました。映画は我々の未来、人生を導いてくれるメディアです。各国のゲストたちにも出会って、今の世の中がどこに向かっていくのか、直接肌で感じて、語り合いたいと思います｣と挨拶した。

既に発表されているとおり、今年のオープニング作品はコンペティション部門の国際審査委員長も務めるヴィム・ヴェンダース監督の最新作｢PERFECT DAYS｣、クロージング作品は山崎貴監督によるゴジラ70周年記念作品｢ゴジラ‐1.0｣に決定。注目のコンペティション作品は今年も世界各国から15本の作品が選出され、中でも日本と中国からそれぞれ3本の作品が出品されている。会見には｢曖昧な楽園｣の小辻陽平監督、｢わたくしどもは。｣の富名哲也監督が登壇し、映画祭出品への抱負などを明かした。この他コンペティション部門には岸善幸監督の｢正欲｣も選出されている。

また、小津安二郎監督の生誕120年を記念した様々な企画が用意されており、｢特集上映｣ではワールド・プレミアを含む小津作品のデジタル修復版18品の他、国立アーカイブとの共催でほぼ全ての小津作品を上映。シンポジウム｢SHOULDERS OF GIANTS｣では｢お早う デジタル修復版｣の上映と、ヴィム・ヴェンダース監督、黒沢清監督、ジャ・ジャンクー監督、ケリー・ライカート監督が小津作品を巡るトークセッションを実施。さらに、｢TIFFシリーズ｣で初期サイレント映画6作を気鋭の映画監督6人がオムニバスドラマとして現代リメイクした作品を3話まで上映する他、提携企画や関連上映もある。

アワードでは｢エシカル・フィルム賞｣が新設され、本年度エントリーされた新作の中から｢エシカル｣（人や社会・環境を思いやる考え方・行動）の基本理念に合致する優れた作品を選出。ジェンダー平等、環境、貧困、多様性、差別といった現代の重要な社会テーマに向き合った作品が対象となる。さらに、国際交流基金との共催による｢交流ラウンジ｣を今年も開催し、トラン・アン・ユン監督やチャン・イーモウ監督によるトークなども行う。この他、海外ゲストとしては、｢アジアン・シネラマ‐香港フォーカス｣のマスタークラスに俳優のトニー・レオンが登壇し、出演作｢2046｣の上映後に自身の俳優活動を振り返る。