累計発行部数2600万部を超える野田サトルの人気コミックを映画化した｢ゴールデンカムイ｣の完成報告会が12月20日（水）に行われ、主演の山崎賢人をはじめ、山田杏奈、矢本悠馬、工藤阿須加、柳俊太郎、大谷亮平、玉木宏、久保茂昭監督、松橋真三プロデューサーが登壇した。"不死身の杉元"と呼ばれる元陸軍兵・杉元佐一役の山崎は｢やっと完成が報告できることを嬉しく思います。杉元という生命力が強く、心優しい男を演じさせていただきました｣と挨拶した。

明治末期の北海道を舞台に、莫大なアイヌの埋蔵金を巡る一攫千金ミステリーと、厳しい大自然の中で一癖も二癖もあるキャラクターたちが躍動するサバイバル・バトルアクションが繰り広げられる。ヒグマに襲われた杉元を助けたことから、相棒として旅をすることになるアイヌの少女・アシリパを演じた山田は｢アイヌの文化的なことや、アシリパの根底に何があるのかを学ばせていただきながら役を作っていきました。アクションもほぼ初めてでしたが、弓矢を家に持って帰って、カーテンに向かって打っていました（笑）。少しでも弓をつがえるのがスムーズになればと思って｣と特訓を重ねた様子。

原作者の野田サトル氏からは｢原作者である私の頭の中にも、映像としてゴールデンカムイがあります。なので、実は、内心ものすごく心配していましたけれど、試写を拝見いたしましてホッとしています。今回の映画には、私の頭の中にも無かった良いところが沢山ありました。特に役者さん方はかっこよくて、渋くて、可愛くて、キャラクターに合っていて、漫画とはまた違った生身の魅力があふれていました。動物のCGも心配ありません。ものすごく謙遜して言わせて頂きますと、観に行って損することはないと思います｣とイラスト付きのコメントが寄せられた。

これを受け、山崎は｢先生と現場でお会いして、『いろんな事を言われるかもしれないけれど、僕は味方ですから』と言っていただき、安心したし背中を押されました。みんな本当に凄くて、役にピッタリだし、原作にリスペクトを持って演じています｣と熱く語り、松橋プロデューサーも｢先生は山崎さんのことを、カッコ良くて強いだけでなく、心根が優しくて、語らずとも行動で示す部分が杉元に似ているとおっしゃっていました｣と明かし、山崎は｢不死身の部分が似ているのかと思った｣と言って笑った。

"脱獄王"の異名を持つ天才脱獄犯・白石由竹役の矢本は｢原作が大好きで、いちファン、いち読者として、白石がこうであったらいいなというキャラクターを作りあげさせていただきました。推しの白石を演じられるとは思わず、しかも大作でガッチガチで、2、3日は調子が悪かったです｣と苦笑い。金塊を狙う大日本帝国陸軍第七師団の中尉・鶴見篤四郎役の玉木は｢やりがいを感じるキャラクターでした。熱量の高い現場だったので、公開を楽しみに待っていただけたら｣と語り、鶴見の側近である月島基役の工藤は｢矢本さんと同じように、こういう月島だったらと思い描きながら演じさせていただきました｣と明かした。

また、第七師団一等卒で双子の軍人・二階堂浩平と洋平を一人二役で演じた柳は｢インパクトの強いイカれた兄弟を演じられて嬉しかったです。ただ、どう芝居すればいいんだろう？と思い、浩平なのか、洋平なのか、こんがらがったりもしました｣と大変だった様子。東北マタギ生まれの第七師団一等卒・谷垣源次郎役の大谷亮平は｢アクションが本当に凄いんですが、僕だけ無かったので、映像を観ながらホッとしてしまいました。マタギの出身なので、雪山を走ったりできるよう、足腰だけは鍛えるようにしました｣と語った。

久保監督は｢原作の大ファンで、半日ぐらいは語れる。フィギュアも全部持っているほどの作品を撮らせていただき光栄でした。今までのエンターテインメント映画には無い、本当の北海道の雪が広がる大自然の中で躍動するキャラクターたちを撮り上げました。雪での撮影は通常の4倍くらい時間が掛かるんですが、僕たちの体感としては15倍くらい大変でした。アシリパの衣装も半年から1年くらいかけてアイヌの方々に作っていただき、杉元の銃もこだわりを持って制作しました｣と思いも一入の様子。

松橋プロデューサーは｢世界中に様々な国の作品が溢れる今、日本のエンタメがどうなのか問われています。世界に出しても恥ずかしくない、こういった作品を日本からどんどん出して、日本映画で埋め尽くしていきたい｣と展望を明かし、山崎は｢迫力あるアクション、ごはんを食べるグルメ、囚人を探すミステリー、そしてコメディ、全てが入った最高のエンタメ作品です。熊も出てきます。大スクリーンで是非観てほしい、凄い作品が出来あがりました｣とアピールした。

（※｢アシリパ｣の｢リ｣は小文字が正式表記）