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第35回藤本賞授賞式「映画 ビリギャル」の製作陣に授与(2016.06.17)

生涯で269作品を製作した映画プロデューサーの藤本真澄氏の功績を称え、その年に著しい活躍をした映画製作者を中心に表彰する「第35回藤本賞」の授賞式が6月17日(金)に行われた。昨年、有村架純主演で28.4億円のヒットを記録した「映画 ビリギャル」を製作した那須田淳氏と進藤淳一氏が本年度の藤本賞を受賞し、特別賞には「海街diary」を製作した松崎薫氏と、「バクマン。」を製作した川村元気氏、奨励賞には「恋人たち」を製作した深田誠剛氏、小野仁史氏が輝いた。

「映画 ビリギャル」の製作陣には「実在の女子高生が慶応大学に合格するまでの実話書籍を取り上げた見事な着眼点に加えて、合格に至る青春ストーリーを脚本の主軸にしながら、親子の愛情と確執、教育といった現代的なテーマを分かり易く描き、笑いと感動の普遍的な映画として製作、商業的にも大ヒットさせた」その功績に対して藤本賞が授与された。

受賞スピーチで那須田氏は「手厳しい先輩方からは、受験の話で、しかも合格するとわかっているのに映画を観に来るのか?という言葉をいただいたりもしましたが、引き受けたからにはヒットさせる自信がありました。作品のテーマでもある“夢や願いは口に出さないと叶わない”という言葉のとおり、土井裕泰監督は“『ストロボ・エッジ』や『暗殺教室』を超えたい”としっかり口に出していました。次は土井監督とアカデミー賞の監督賞や作品賞を目指していきたいと思いますので皆さんお力を貸して下さい」と挨拶した。

同じく「映画 ビリギャル」を手掛けた進藤氏は「会社を設立して31年となり、そろそろ引退を考えていましたが、もうちょっと頑張らなければいけないと思っております。映画は何十人という人たちのエネルギーが1つにまとまって出来ます。那須田さんと土井監督とは何回かご一緒させていただいていますが、今回は新しい方たちも参加して下さり、映画が一本終わると、またご一緒したいと夢見て、次の作品に進めるような気がしています。また、こういうご褒美がいただけるように、映画を作り続けたいと思います」と語った。

是枝裕和監督の「海街diary」を製作した松崎氏は「この作品は幸運が重なり、長らく抑えられていた原作権がふと空いたことや、素晴らしい四姉妹をキャスティングできたこと、鎌倉の家が見つかったことなど、いろんなことがスムーズにいき、素晴らしい作品として多くの方に愛されました。元々、映画が大好きでしたが、社会人になって映画に携わることになるとは思わず、こうして栄誉ある藤本賞をいただくことができ、人生不思議だなと、ありがたい気持ちを噛み締めております」と明かした。

5年前に「悪人」と「告白」の製作で藤本賞を受賞した川村氏は当時、「次に何を作ろうか」と途方に暮れていたことを明かし、「大根仁監督と『モテキ』の撮影を始めて、映画はバカバカしくて、楽しくて、少年のために作ればいい!と言ってもらったような気がして楽になりました。今回は大根監督に、僕の大好きな『マルサの女』のように仕事にまつわる映画で、『キッズリターン』のように少年たちが夢破れながらも、まだ始まってもいないという映画を作りたいとお願いしました。エンタメに徹した作品で賞をいただくことができ、また次のチャンスに繋げていきたいと思います」と抱負を述べた。

そして、橋口亮輔監督の「恋人たち」を手掛けた深田氏は「錚々たる作品の中で小さな作品に光を当てていただき光栄です。沢山の苦楽を共にしてくれた人たちがいたからこそ、『恋人たち』が多くの人に届いたのだと思います。このような素晴らしい体験が出来たのも、橋口監督のお陰です」と語り、小野氏も「初めての映画で、プロデュースというよりサポートという言葉が相応しかったかと思います。作家主義を貫きとおし、映画賞も沢山いただきましたが、新人俳優の発掘という観点からも主演の3人が揃って新人賞を受賞し、人々が新しい風と橋口監督の才能を待ち焦がれていた証だと思います」と感慨深げに明かした。

情報 公式サイト:http://www.eibunkyo.jp/fujimoto.html

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