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第29回東京国際映画祭が閉幕、ドイツのクリス・クラウス監督作「ブルーム・オヴ・イエスタディ」が東京グランプリとWOWOW賞を受賞!(2016.11.04)

第29回東京国際映画祭が11月3日(木・祝)に閉幕し、クリス・クラウス監督がホロコーストという重い題材をユーモアと恋愛を交えて描いたドイツ、オーストリア映画「ブルーム・オヴ・イエスタディ」が東京グランプリとWOWO賞をW受賞した。クラウス監督は憧れのジャン=ジャック・ベネックス監督から賞を受け取り、「20歳の頃から、あなたの映画を観ていますと、拙いフランス語でお伝えしました。同じ舞台に立てるなんて夢が叶ったような気分です。この映画を撮ることは簡単ではありませんでしたが、今回の受賞でフランス、ドイツ、そして日本でも公開されることを期待しています!」と喜びを明かした。

映画界の功労賞とも言える“SAMURAI賞”には、マーティン・スコセッシ監督と黒沢清監督が選ばれ、出席が叶わなかったスコセッシ監督からはビデオレターが届き、「敬愛し、いつも感服している黒沢清監督に代理で受け取っていただきます。ありがとう、清。あなたの受賞もおめでとう。私は映画を通じて日本と日本の文化を知り、数多くの作品から豊かで素晴らしい世界を知りました」とコメント。続いて黒沢監督は「スコセッシ監督と並んで賞を受けることが自分の人生に起こるなんて信じられません。自分なりに自由で多様で、なんでもありな映画作りをしてきた甲斐もあり、30年以上続けられています。これからも映画を作っていきます」と決意を新たにした。

また、日本映画界への貢献が目覚しい人々へ贈る“ARIGATO賞”を受賞した「君の名は。」の新海誠監督、女優の高畑充希、俳優の妻夫木聡、ゴジラ&「シン・ゴジラ」プロデューサーの山内章弘氏も登壇。妻夫木は「俳優の転機となった『ウォーターボーイズ』で、日本映画の汗臭さ、泥臭さ、一体感をすごく感じました。映画に惚れて、今までやってきたので、映画界からこのような賞をいただき、これを励みに頑張っていきたいです」と挨拶し、新海監督は「僕の名前で賞をいただきましたが、素晴らしいスタッフやキャストいて作ることができた『君の名は。』にいただいた賞だと思っています」とコメントした。

そして来賓として駆けつけた小池百合子東京都知事は「毎年、東京国際映画祭を通じて多くの才能が東京から羽ばたいていくことを嬉しく思います。本日は文化の日であり、様々な文化をここ東京、日本から発信し、2020年のオリンピック・パラリンピックに向け、世界の方々に知っていただきたいと思います」と挨拶。コンペティション部門国際審査委員長を務めたジャン=ジャック・ベネックス氏は総評として「16作品を様々な視点で観ることができました。映画の作り手は時代の証人であり、不安、孤独、人種差別、正義感、違いなどを見せつけられました。文化の違い、考え方の違いこそ人間の共有財産であり、寛容な気持ちで互いを尊重すれば、より良い世界が叶うのではないかと思っています」とコメントした。

最後に椎名保ディレクター・ジェネラルが受賞者を祝福し、映画祭に携わった全ての人に感謝の言葉を述べ、映画祭は幕を閉じた。なお、映画祭の動員数は、劇場動員が6万0589人(上映本数206本)、共催/提携企画動員が22万2039人、JCS/レッドカーペット・アリーナ等のイベント動員が11万9598人となった。受賞作及び受賞者は次のとおり。

《コンペティション》
▽東京グランプリ/東京都知事賞=「ブルーム・オヴ・イエスタディ」(クリス・クラウス監督)
▽審査員特別賞=「サーミ・ブラッド」(アマンダ・ケンネル監督)
▽最優秀監督賞=ハナ・ユシッチ監督(「私に構わないで」)
▽最優秀女優賞=レーネ=セシリア・スパルロク(「サーミ・ブラッド」)
▽最優秀男優賞=パオロ・バレステロス(「ダイ・ビューティフル」)
▽最優秀芸術貢献賞=「ミスター・ノー・プロブレム」(メイ・フォン監督)
▽観客賞=「ダイ・ビューティフル」(ジュン・ロブレス・ラナ監督)
《アジアの未来》
▽作品賞=「バードショット」(ミカイル・レッド監督)
▽国際交流基金アジアセンター特別賞=アランクリター・シュリーワースタウ監督(「ブルカの中の口紅」)
《日本映画スプラッシュ》
▽作品賞=「プールサイドマン」(渡辺紘文監督)
《WOWOW賞》
▽「ブルーム・オヴ・イエスタディ」(クリス・クラウス監督)
《SAMURAI賞》
▽マーティン・スコセッシ監督
▽黒沢清監督
《ARIGATO賞》
▽新海誠監督
▽高畑充希
▽妻夫木聡
▽ゴジラ

公開情報 公式サイト:http://2016.tiff-jp.net/ja/

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