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第30回東京国際映画祭が閉幕、トルコのセミフ・カプランオール監督作「グレイン」が東京グランプリ/東京都知事賞を受賞!(2017.11.06)

第30回東京国際映画祭が11月3日(金・祝)に閉幕し、セミフ・カプランオール監督が近未来を舞台にモノクロ映像でダークなディストピアを描いたトルコ・ドイツ・フランス・スウェーデン・カタール合作映画「グレイン」が東京グランプリを受賞した。30回を記念して新たにデザインされた江戸切子のカットを施したトロフィーを審査委員長のトミー・リー・ジョーンズ氏から受け取ったカプランオール監督は「製作に5年という長い旅路を経てきましたが、ここから世界に広がっていく出発点になると思っています。尽力いただいた全ての人にお礼を申し上げたい。今とても興奮しています」と喜びを噛み締めた。

はじめに今年新設された東京ジェムストーン賞の表彰が行われ、宝石のような輝きを放つ若手俳優として、映画祭上映全作品の中から石橋静河(「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」)、松岡茉優(「勝手にふるえてろ」)、ダフネ・ロー(「アケラット―ロヒンギャの祈り」)、アデリーヌ・デルミー(「マリリンヌ」)が発表された。続いて各部門の表彰が行われ、来賓として駆け付けた小池百合子東京都知事がグランプリ受賞のカプランオール監督に東京都知事賞の麒麟像を手渡し祝辞を述べ、「東京国際映画祭がますます発展し、東京の魅力がますます高まっていくことを期待しております」と述べた。

総評としてコンペティション部門国際審査委員長を務めたトミー・リー・ジョーンズ氏は「一番楽しかったのは、聡明で思慮深い審査員の4人との友情を築けたことです。最良の映画祭というのは、映画製作者や観客を厳しい商業的需要から解放すべきものだと思っています。そして我々、映画製作者は皆さんの時間をより良いものにするために生まれてきたということを、謙虚な心と希望をもって仕える者ということを、審査員を代表して申し上げます」と語った。

そして、クロージング作品に選出された「不都合な真実2:放置された地球」から元アメリカ大統領であり、地球環境問題の啓発に貢献したとしてノーベル平和賞を受賞したアル・ゴア氏も来場。長年の友人であるというジョーンズ審査委員長から紹介されたゴア氏は「クロージング作品に選んでいただき光栄です。皆さんに映画を楽しんでいただき、観て、感じて、気候変動の解決の糸口を探っていただきたい」とコメントした。

最後に久松猛朗フェスティバル・ディレクターが受賞者への祝福の言葉と関係者へ感謝を述べ、「来年はさらに充実したプログラムで皆さんを迎える所存です」と誓い、10日間の映画祭が幕を閉じた。なお、映画祭の動員数は、劇場動員が6万3679人(上映本数231本)、共催/提携企画動員が18万8195人、JCS/レッドカーペット・アリーナ等のイベント動員が13万8036人となった。受賞作及び受賞者は次のとおり。

《コンペティション》
▽東京グランプリ/東京都知事賞=「グレイン」(セミフ・カプランオール監督)
▽審査員特別賞=「ナポリ、輝きの陰で」(シルヴィア・ルーツィ/ルカ・ベッリーノ監督)
▽最優秀監督賞=エドモンド・ヨウ監督(「アケラット―ロヒンギャの祈り」)
▽最優秀女優賞=アデリーヌ・デルミー(「マリリンヌ」)
▽最優秀男優賞=ドアン・イーホン(「迫り来る嵐」)
▽最優秀芸術貢献賞=「迫り来る嵐」(ドン・ユエ監督)
▽最優秀脚本賞 Presented by WOWOW=「ペット安楽死請負人」(テーム・ニッキ監督)
▽観客賞=「勝手にふるえてろ」(大九明子監督)
《アジアの未来》
▽作品賞=「僕の帰る場所」(藤元明緒監督)
▽国際交流基金アジアセンター特別賞=藤元明緒監督(「僕の帰る場所」)
▽スペシャルメンション=「老いた野獣」(チョウ・ズーヤン監督)
《日本映画スプラッシュ》
▽作品賞=「Of Love&Law」(戸田ひかる監督)
《SAMURAI賞》
▽坂本龍一
《東京ジェムストーン賞》
▽松岡茉優
▽石橋静河
▽アデリーヌ・デルミー
▽ダフネ・ロー

((c)2017 TIFF)

公開情報 公式サイト:http://2017.tiff-jp.net/ja/

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