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イーストウッド監督も「非常に満足」と太鼓判!渡辺謙主演「許されざる者」完成報告会見(2013.08.01)

第65回アカデミー賞で最優秀作品賞をはじめ4部門を受賞したクリント・イーストウッド監督・主演作を渡辺謙主演でリメイクした「許されざる者」の完成報告会見が8月1日(木)に行われ、渡辺をはじめ、佐藤浩市、柄本明、柳楽優弥、忽那汐里、小池栄子、李相日監督が登壇。イーストウッド監督からは「素晴らしい出来で、非常に満足しています。私の大事な友人である渡辺謙も、素晴らしい演技を見せてくれました。日本映画界、そして世界の映画の歴史に残る素晴らしい作品になることを期待しております」とメッセージが届いた。

本作は、オリジナルの西部劇から設定を日本の明治維新期の北海道に移し、かつて“人斬り十兵衛”と恐れられていた男が、愛する妻に先立たれ、最北の地で幼い子供たちと極貧の生活を送るなか、昔の仲間から“賞金首”の話を持ちかけられ、再び過酷な運命に身を投じていく姿を描き出している。

20歳の頃に観た「許されざる者」に感銘を受けたという李監督は、自分がリメイクすることになるとは夢にも思わなかったとしつつも「(3年前に監督した)『悪人』を経て、善悪では割り切れない世界にもう一度チャレンジしたいと思いました。リメイクの話を真摯に受け止めて下さったワーナー・ブラザースの方々とイーストウッド監督に感謝したい。この映画が失敗したら、日本映画界どころか世界の何処にも居場所が無くなってしまう」と自信の裏返しとも取れる発言。

「硫黄島からの手紙」への出演でイーストウッド監督とは親交のある渡辺は「日本の風土や歴史に置き換えた時、独自の世界観になると思ったので、オリジナルは意識しませんでした。クリントがとても気持ちよくリメイクを許してくれたのは、彼の懐の深さ。ご丁寧にメッセージまでいただき、クリントの心に届いたという意味でも頑張った甲斐がある」と語り、李監督も「映画界の神様みたいな方なので、雲の上の人から声をかけてもらったようで実感が湧かない。キャストもスタッフも必死に2年間やってきたことが、映像を通して伝わったということは、手応えとして感じています」と恐縮しきり。

同世代だが本格的な共演は初となった渡辺と佐藤は互いの印象について聞かれ、佐藤は「初と言っても30年もこの仕事やってきているので、撮影所で会うことや挨拶を交わすこともありましたが、この作品で共演できたのは光栄。現場で常に威風堂々と、座長として全てを受け入れている度量は僕には無いんで、素晴らしいなと。こんなんでいい?」と照れ隠し。渡辺も「アプローチの難しい作品で、一緒に高い山を登らなくちゃいけない“共犯者”でした。スクリーンの中にもその力強さが残っていると思います」と応えた。

李監督とは3度目のタッグとなる柄本は「李相日という一つの才能は、なかなか大したもんだなと。零下10度の中、僕の死体の人形が作ってあるのに、死体のメイクをしてくださいと。渡辺謙さんはカットがかかる度に温かいところに担いで行ってくれたけど、監督はそういうことはしてくれませんでした」と恨み節。

冬の北海道での撮影で辛かったことを聞かれると、忽那は「ここまでの雪を体験したことがなかったので、吹雪いている夜の撮影は、手がちぎれるかと思いました」と明かし、小池も「ここまで人の身体って震えるんだなと。スタッフ・ジャンパーを着ていたら(監督に)怒鳴られるんじゃないかと思いましたが、体調を崩すわけにもいかなかったので」と過酷な現場について語ったが、何故か柳楽は「李監督の演出」とポツリ。渡辺に「それ北海道と関係無いじゃん!」と突っ込まれ、「柄本さんにも『おまえは李の言うことだけ聞いていればいい!』と言われたのがとても印象に残っていて」と監督の要求に応えることに必死だった様子。

なお、本作は8月末に開催される第70回ヴェネチア国際映画祭の特別招待作品として上映されることも決定。李監督は「人間の持っている業を滲み出せないかと追求した作品なので、海外の人にどう受け止められるか楽しみであり、怖くもある」とし、渡辺も「ウェスタンには無い、痛みや湿度がどう伝わるか楽しみ。受け入れられると思っています」と自信をのぞかせた。

公開情報 ワーナー・ブラザース配給「許されざる者」は2013年9月13日(金)から新宿ピカデリー他全国公開
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/yurusarezaru/

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