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白石監督、奥谷監督、孫氏、菊地氏が受賞!「新藤兼人賞・SARVH賞」授賞式(2013.12.06)

日本映画製作者協会が授与する2013年度「新藤兼人賞」及び私的録画補償金管理協会が授与する「SARVH賞」の授賞式が12月6日(金)に行われ、「凶悪」の白石和彌監督が「新藤兼人賞」金賞、「ソレイユのこどもたち」の奥谷洋一郎監督が「新藤兼人賞」銀賞を受賞。また、長年二人のコンビで開発してきた企画・プロデュース作品がここ数年候補に挙がっていた中、作品としての質の高さと興行的な成功の両面から審査員全員納得の受賞となった「舟を編む」をプロデュースした孫家邦、菊地美世志の両氏が「SARVH賞」を受賞した。

今年で18回目を迎える「新藤兼人賞」は、独立プロダクション56社によって組織される日本映画製作者協会に所属するプロデューサーが「この監督と組んで仕事をしてみたい」、「今後この監督に映画を作らせてみたい」という観点から、その年最も優れた新人監督(長編処女作より3作品まで)に授与する賞。本年度は2012年12月から2013年11月までに公開された新人監督作品126本から2作品が選ばれた。

授賞式開催にあたり、日本映画製作者協会代表理事の新藤次郎氏は「日映協というのは独立プロダクションの集まりですので、財政的にかなり脆弱でありますけれども、協賛各社の方々のおかげだと思っておりますし、できる限り続けていきたいと思っております。私たちはほぼプロデューサーの集まりですので、インディペンデントの映画として際立った映画を作っていきたいと願っています。新人監督賞を設けたのは、新しい才能に出会いたいという思いと、育てたいという願いが強い思いです。どなたもデビュー当時は経済的にも大変ですので、褒めてあげると同時に賞金が大事じゃないかなという思いで、なんとかここまできております。」と挨拶した。

故・若松孝二監督に師事し、若松監督作品の助監督として参加する一方、行定勲、犬童一心監督などの作品にも参加し、今回、ベストセラー・ノンフィクションを個性溢れるキャストを迎え映画化した白石和彌監督は「去年新藤兼人監督が亡くなり、『凶悪』を撮る直前に師匠でもあります若松監督がこの世を去りました。インディーズの巨匠が立て続けに亡くなり、今のインディーズ界がつまらなくなったと言われることが多く、こういう賞を頂いたので少しでも穴を埋めることができればなと強く思っております。ただ、あまり若松の弟子と言い続けているとさすがに行き詰ってしまうので、今後は僕自身を大きくしながら、日本映画を愛してくださる皆様方に映画を届けることが使命だと思って、今後も魂を込めて作っていきたいと思います。」と映画製作への意欲を表明した。

また、当該賞以来、初めてのドキュメンタリー映画からの選出となった「ソレイユのこどもたち」を手掛けた奥谷洋一郎監督は「製作していた頃を思い出していたのですが、いろいろな方に関わって頂き作品を世の中に出すことができました。撮影していたときは一人で、常識とか自分がいる環境とかに『このやろう』という気持ちで作っていました。こういった賞を頂け非常に励みになります。これからも『このやろう』という気持ちは忘れないで続けていきたいと思います。」と挨拶した。

そして、優れたプロデューサーに贈られる「SARVH賞」を受賞した孫家邦氏、菊地美世志氏は、長年コンビで開発してきた企画・プロデュース作品は、ここ数年何度かSARVH賞の候補に挙がり、審査対象となった「舟を編む」は、映画作品としての質の高さと興行的な成功の両面から、審査員全員納得の決定。難しい原作を映画化することの企画の意外性と先見性、加えて的確なキャスティングが印象に残る作品として評価された。

孫氏は「コンビでやってきて20数年ですが、25年前に師と仰ぐ原田芳雄さんの家で彼と出会ったときにはこんなに長く一緒に仕事をするとは全く思っていなかったですが、その2年後には荒戸源次郎事務所に菊地が入ってきまして、こんな育ちの悪いところによく来たなと思いました。ずっとチンピラ風に生きてきたのでご迷惑をおかけした方々もたくさんいると思います。今思えば、原田さんも荒戸さんにも孤立せよ、個として戦えということを教えてもらってきたと思います。こんな偏屈な二人組を助けてくれたみなさんがいらっしゃったことをこの場を借りて感謝したいと思います。」と挨拶をし、菊地氏は「20年以上二人でやってきまして10何本の映画を作ったのですが、外交的なことは孫に任せてきました。私は苦手でして顔も出したくないのですが、賞金が出るから俺が行ったら俺が独り占めだと、孫が20年間培ってきた外交手段を私に使いまして、こうやってやってきたんだなと改めて思いました。これからもこのパターンも続くのではないかと思いますが、みなさんも覚悟して頂いてこれからもお付き合い頂ければと思っております」と会場を和ませた。

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