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「若い世代にも心に残る映画を送り出せた」第33回藤本賞に「永遠の0」の市川南氏(2014.06.05)

277本の映画を世に送り出した映画プロデューサー・藤本真澄の功績を讃え、その年に著しい活躍をした映画製作者を中心に表彰する第33回藤本賞の授賞式が6月5日(木)に行われた。本年度の藤本賞には「永遠の0」を製作した東宝の市川南氏、畠中達郎氏はじめ、プロデュース・チームの上田太地氏、遠藤日登思氏、阿部秀司氏、安藤親広氏、遠藤学氏、筒井竜平氏、守屋圭一郎氏の9名が選ばれ、特別賞には「ペコロスの母に会いに行く」を製作した井之原尊氏と村岡克彦氏、奨励賞には「陸軍登戸研究所」を製作した楠山忠之氏が輝いた。

「永遠の0」の製作に関しては「ゼロ戦パイロットを主人公とした同名小説を基にした的確な脚本、山崎貴監督によるベストキャストを配した人間ドラマと、最新のVFXを駆使したリアルな映像で、間口の広い感動エンタテインメント作品を作り上げ、多くの観客の共感を集め700万人を超える動員を果たした」その功績に対して藤本賞が授与された。

市川南氏は「山崎監督はじめ若いスタッフで戦争ものにトライして、お客様も今までの戦争ものと違って若い世代のお客様の心に残る映画を送り出せたことを光栄に思っております」と語った。

「永遠の0」の製作に関して市川南氏は「非常に運のよい作品だったと思います。原作が出版されたのが2007年なので7年後の映画化となりました。当初あまり売れなかった原作が7年の間にベストセラーになったこと、特撮の技術も上がってきたこともあり、ベストの公開になったと思います。」と振り返り、筒井竜平氏は「映画を企画、製作、公開してという時には、いろいろなことがあります。それをみんなで協力して乗り越えた部分、ひとりひとりが腹にしまって乗り越えた部分、全ては素晴らしい映画にするために尽力し、結果大ヒットすることができ、幸運な映画だったと思います」と語った。

認知症の母親の介護というシリアスなテーマをコミカルに綴った「ペコロスの母に会いに行く」を製作した井之原尊氏は「3年前に原作がインターネット上に自費出版で流通している状況でした。フェイスブックのフォーマットで村岡さんと知り合う御縁がありまして、二人で撮影まで突っ走りました。」とたくさんの御縁によって作品が完成したことを語り、村岡克彦氏は「フェイスブックを駆使した資金調達を行いました。最新のデジタルと森崎東という究極のアナログが奇跡的な融合を果たした結果だと思います」と喜びを語った。

日本映画学校の学生達のドキュメンタリーの授業として取り上げたことをきっかけに6年に亘る取材を経て、若者世代感性で戦争の意味を新しく問いかける異色作「陸軍登戸研究所」を製作した楠山忠之氏は「学生の上に立ってなんとか映画にしなければという思いでやってきただけ。彼らは授業とアルバイトの合間に取材をしながら、3年間最後までやめるといことを一切言わなかったのでとても感謝しております」と、製作に携わった当時の学生を壇上に呼び、喜びを分かち合った。

公開情報 公式サイト:http://www.eibunkyo.jp/fujimoto.html

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