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10代後半からの憂鬱な日々もこの役のためだった!高良健吾主演「悼む人」完成報告会見(2014.12.01)

第140回直木賞を受賞した天童荒太の70万部を超えるベストセラー小説を堤幸彦監督が舞台化に続き映画化した「悼む人」の完成報告会見が12月1日(月)に行われ、高良健吾、石田ゆり子、貫地谷しほり、椎名桔平、大竹しのぶらに加え、堤監督、原作者の天童が登壇した。不慮の死を遂げた人々を“悼む”ため旅をする主人公を演じた高良は「10代後半から20代半ばにかけて、死んだり、人を殺したりという役が多くて、憂鬱に過ごした日もあるんですが、死について考えてきたからこそ静人のやっていることが腑に落ちて、この役のための準備だったのかなと感じています」と感慨深げに挨拶した。

本作は、亡くなった人が生前「誰に愛され、愛したか、どんなことをして人に感謝されていたか」。そのことを憶えておくという行為を巡礼のように続ける“悼む人”こと坂築静人と、彼とのふれ合いをきっかけに“生と死”について深く向き合っていく人々の姿を描き出している。

2001年のアメリカ同時多発テロ及びその報復攻撃で多くの死者が出たことを発端に、7年かけて本作を書き上げたという天童は「深い哀しみが広がる世界に一番いて欲しい人が“悼む人”でした。全てが等しく、掛け替えのない命だったと、愛と感謝の名において胸に刻んで欲しい。最も信頼する堤監督をはじめ、卓越したスタッフ、豊かな才能と情熱を持ったキャストによって、万国共通の言語である映画として世界中に“悼む人”の思いが届くことを幸せに感じています。人類の宝物になる映画だと実感しています」と力強く語った。

原作に心を打たれたという堤監督は「人の死に向き合ったこの原作だけは自分の作品にしたいと思い、舞台化の経験を元に映画化することができました。自分自身の経験や死への思いを重ねながら観ていただきたい。会津若松や喜多方の美しい冬と春が同居する季節の移ろいの中で静人の旅など撮りたいものが全てクリア出来、何パターンかの編集の中から納得いくものが出来ました。皆さんに早く観ていただきたい」と満足の様子。

夫を殺した罪を背負いながら、静人と行動を共にする女性・奈義倖世を演じた石田は「原作を読んで『映像化されるならやりたい!』と自分から立候補しながら『本当に自分に出来るのか?』と思うような日々でした。高良さんとはほぼ全てのシーンが一緒で、彼が本当に静人を体現してくれていたので、くっついて歩きながら奈義さんの気持ちがよくわかりました。この作品に携われて幸せだったし感謝しています」と感動の面持ち。

新たな命を授かる静人の妹を演じた貫地谷は「(母親役の)大竹さんとは初日から家族のような空気があって、幸せな撮影でした。映画を観て、関わった人たちの熱量を感じて、この作品に出られて本当に良かったです」と明かし、静人を追う雑誌記者を演じた椎名は「13年くらい前に堤監督と『世に問う真摯な作品を作ろう』と話していて、それがこの作品なんだろうと実感しています。天童さんの『永遠の仔』にも石田さんと出演させていただきましたが、セリフで『生きていてもいいんだよ』というのがあって、その後の俳優人生の糧になりました。今回もそういう力を与えてくれる凄い作品になっています」と自信を見せた。

静人の帰りを待つ末期ガンの母親・坂築巡子を演じた大竹は「初日に監督から高良君の悼むシーンを見せてもらったら、その姿が美しくて。撮影の最後にセットの隅で『悼む姿をやってちょうだい』とお願いしてしまいました。この子が生まれてきて良かった、こうして人の死を悼んでくれる人がいて良かった、と映画を観る方も思って下されば嬉しい」と目を細めた。

また、「“悼む”とはどういうことか?」と聞かれた高良は「仏壇に毎日、手を合わせるのも悼みだし、亡くなった人を忘れないこと」と回答。続いて石田は「フッとその人が生きていたことに気持ちを添えること。いつか自分も死んでしまうので、今を一生懸命に生きること」とコメント。貫地谷も「何か悩んでいる時に曾おばあちゃんのお墓参りに行くと、曾おばあちゃんのことを思い出すし、気持ちがスッキリして勇気付けられる感じがします」と明かした。

最後に、2011年の東日本大震災を乗り越え、精力的な活動を続ける宮城県・気仙沼市在住のシンガーソングライター・熊谷育美が歌う主題歌「旅路」について堤監督は「原作を読んで、編集映像も観ていただき、書いてもらった曲。いろんな思いが詰まった、映画のクロージングとしてこれ以上の曲は無いと思えるものになっています」とコメントした。

公開情報 東映配給「悼む人」は2015年2月14日(土)全国公開
公式サイト:http://www.itamu.jp/

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