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戦後70年企画!鈴木京香が7人の息子の母親を演じる「おかあさんの木」クランクアップ報告会見(2015.03.17)

東映が戦後70年企画として、昭和52年から小学校5年生の教科書に掲載されてきた児童文学者・大川悦生による不朽の名作を、磯村一路監督、鈴木京香主演で映画化する「おかあさんの木」のクランクアップ報告会見が3月17日(火)に行われた。7人の息子たちの母として、激動の時代を生きる主人公・田村ミツを演じた鈴木は、3月10日にクランクアップを迎えたことを報告し、「スタッフ、キャストと共に本当に優しい、素敵な物語を完成させることができました。一人でも多くの方に観て欲しいと思います」と挨拶した。

突然始まった戦争により、貧しいながらも懸命に育て上げた7人の子どもたちを次々と兵隊にとられ、その度に子どもの数だけ桐の木を植え、無事に生きて帰るのを待つ。そんな強く優しい母親の姿を通して“母と子の情愛”を描き出す。原作は、東京大空襲や広島の原爆など、戦争が人々の心をどのようにひきまわしたかが語られる8編の短編からなる児童書で、5月には大人向けに再編集され、新たに1編を収録した文庫本が刊行される。

小学生の頃、自習時間に「おかあさんの木」を読み、涙が止まらなくなってしまったと明かした東映の須藤泰司プロデューサーは「自分の周りからもすすり泣きが聞こえたあの時のことをよく憶えていて、この作品を映画化できないかと、戦後70年の今、やらなければと企画を立ち上げました。物語の背景は戦争であり、反戦のメッセージも込めていますが、それ以上に普遍的な母と子の情愛や、家族の物語を、多くの方に観て欲しいと思いました」と映画化の経緯を語った。

1月23日からの撮影を終えたばかりの磯村監督は「寒い時期に、温かいキャストと熱いスタッフの仕事ぶりに支えられ、幸せな現場でした。皆さんの努力に報いるような作品にしたいです」と語り、脚本も手掛けたことについて「原作を読んで『困ったな』というのが実感でした。私は戦後生まれで、ここにいる皆さんも奈良岡さん以外は戦争のことを知らない。父や母から子ども時代に聞いた話や、これまで観てきた戦争をテーマにした映画などから学んだことを、脚本に活かしたいという気持ちで書きました」と明かした。

そんな脚本を読み、鈴木は「目で字を追っているだけなのに涙が出て、こんなに辛く、悲しい思いを7回もするのかと、難しい役だなと感じました」と語り、実際に演じてみて「子どもたちが本当に可愛く、無邪気に遊んでいる姿を見ると、(戦争に)送り出すのが辛かったです。母として強いところをしっかり出したいと、自分を律しながら撮影していたように思います」と振り返った。

田村家の五男に想いを寄せる坂井サユリ役を演じた志田未来は「戦争を知らない世代ですが、今後の日本に残していくべき作品に参加できて嬉しいです。母は子を思い、愛に溢れていることを改めて感じました。サユリは思いを寄せる五郎さんから立ち去らなければならないのですが、今の時代なら『イヤだ!』と言えることも、この時代には言えない。女性の強さを感じました」と明かした。

また、田村家の次男・二郎を演じた三浦貴大は、鈴木との共演について「小さい頃の二郎の方が家族との時間が長く、出征していくシーンでご一緒しただけだったのですが、鈴木さんの目の前に立っていると『あぁ、おかあさんだ』と思えました。言葉では説明しづらい、なかなか無い経験で、理屈とかではなく、感じることができました」と明かし、「同世代の人たちに特に観て欲しいです。30代は仕事で忙しいかもしれませんが、親の愛を再確認できるので、観てもらえればと思います」とアピールした。

戦争経験者でもある奈良岡朋子は、物語の語り部となる現代パートのサユリ役を演じており、「今、こういう映画を撮るべき時にオファーをいただき、心から熱い思いを持って参加させていただきました。戦争へ行った人だけでなく、残された人たちも被害者なのだと実感しました。きな臭い世の中になってきましたが、戦争はどういうものか、家族とはどうあるべきかを感じ取って欲しい。観なくて損したという映画なので、損しないように是非、観にいらして下さい」と熱く語った。

公開情報 東映配給「おかあさんの木」は2015年6月6日(土)から全国公開
公式サイト:http://mothers-trees.com/

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