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カンヌ国際映画祭を皮切りに日本のコンテンツを世界に発信する「ジャパンデイ プロジェクト」事業発表会見(2015.05.07)

映画・アニメ・漫画・TV番組・音楽などジャンルの垣根を越えて日本のコンテンツを世界に発信し、日本コンテンツ業界に海外へのビジネス展開の場を提供する「ジャパンデイ プロジェクト」が発足、その事業発表記者会見が5月7日(木)に行われた。本プロジェクトのブランディングマネージャーである森下美香氏、プロデューサーを務める小山薫堂氏、カンヌ国際映画祭期間中にジャパン・パビリオンでセミナーを開催する奈良橋陽子氏、そして同映画祭出品が決定した「あん」主演の樹木希林が登壇し、事業内容や展望を明かした。

本プロジェクトは、注目度が高く実績のあるコンテンツ・マーケットやイベントにおいて、Japan Dayを開催するなど、世界に向けて日本文化を発信する。今年は5月に開催されるカンヌ国際映画祭の見本市「マルシェ・ドゥ・フィルム」を皮切りに、7月にパリで行われる「Japan Expo」、8月に台北で行われる「台湾漫画博覧会」、10月にカンヌで行われる「MIPCOM」、そして同じく10月に東京でイベントを予定している。

プロデューサーとしてカンヌでのジャパン・パビリオンやパーティーの演出を手掛ける小山氏は「8年前、『おくりびと』(脚本担当)の時に『カンヌへ行くんだ!』という思いでいたんですが、今回こういう形でカンヌ映画祭に関わることができて光栄です。2020年の東京オリンピックに向けてオールジャパンで盛り上がっていこうという中で、映画産業も日本の枠を越えて発信していくのは価値のある試みだと思っています。日本にはまだまだ世界に知られていないコンテンツがあり、人と人、人と文化を繋いで、コンテンツの種を世界に蒔いていけたらと思っています」と挨拶。

国際共同制作セミナーのゲスト・スピーカーとして参加する奈良橋氏は「様々な作品のプロデュースやキャスティングをしてきましたが、まだまだ日本は世界に窓を開いていません。戦後70年、日本人は平和に過ごしてきた中で豊かな文化を育んできました。そういった多くのものをジャパンデイ プロジェクトを通して、世界の人に知っていただきたい」とコメント。なお、カンヌでのビジネス・セミナーは“New Gateways to the Japanese Industry”をテーマに5月16日からの3日間、ジャパン・パビリオンで開催される。

また、森下ブランディングマネージャーはカンヌで企画している3大プロジェクトについて発表。(1)「日本映画・新作プロモリール上映」は話題の最新日本映画の47作品を一挙に紹介。マーケットに参加する日本の企業25社が共同でPRするのは日本映画界において初の試みとなる。(2)「ジャパン・パビリオン」は、日本映画の情報発信の他、世界に発信したい日本のコンテンツなどを紹介。前述のビジネス・セミナーや出展各社によるプレス向けイベントなども開催する。(3)ジャパン・パーティー「KANPAI NIGHT」は1000人ほどを招き、人と人を繋げることを目的に、日本の監督・俳優・業界関係者を世界の映画関係者に紹介。フランスで活躍する日本人シェフによる和食を来場者に振る舞う。

そして、カンヌ国際映画祭ある視点部門に出品される河瀬直美監督作「あん」で主演を務め、カンヌにも訪れる樹木希林も登壇。同作で共演する孫娘の内田伽羅は英語も堪能とのことだが、海外で俳優として活躍するには英語よりもむしろ演技の訓練を積むことが非常に大事だと奈良橋氏が明かしたのを受け、樹木は「是枝監督の『誰も知らない』で柳楽君がカンヌ映画祭の主演男優賞を貰って、今回の『海街diary』でも16歳の広瀬すずちゃんが凄い溌溂としたいい芝居をしています。二人とも台本を渡されていないと聞いて、結局、演技というのは監督の腕だと思いました。とにかくいい監督に出会うことです!」と持論を展開。

さらに、小山氏が「日本の人たちが一生懸命、コンテンツや俳優を海外に売り込むのに完璧な場所を提供したい」と明かしたのに対し、樹木は「それは役者としてはありがたいことですけど、(俳優の)質がそこまでなかなかいかない。それが問題なんじゃないかと私は思っています。でも、若い人たちがそこに乗っかっていけるのは、ありがたいことです」とプロジェクト自体は評価しながらも、日本の俳優陣については厳しい言葉も飛び出した。

公開情報 公式サイト:http://www.japanday.jp/

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