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ビートたけしが情けない変質者の役?!ウェイン・ワン監督作「女が眠る時」製作発表会見(2015.07.13)

「ジョイ・ラック・クラブ」「スモーク」等で世界的に知られるウェイン・ワン監督が、自身の監督作以外では12年ぶりの主演となるビートたけしを迎えたミステリー「女が眠る時」の製作発表会見が7月11日(土)に行われた。この日、撮影を終えたばかりの監督やたけしをはじめ、共演の西島秀俊、忽那汐里、小山田サユリが登壇。たけしは「こんにちは。渡辺謙です」と開口一番ギャグをかまし、「さっき撮影が終わって、お風呂入って、いい調子になっちゃって」と語りながらも「今回の映画は久々に緊張して、手探りが続き、いい勉強になりました。役者としても監督としても、お世話になりました」とワン監督に敬意を示した。

本作はスペインの人気作家ハヴィア・マリアスによる短編小説「While The Women Are Sleeping」の映画化。処女作のヒット以来、題材に恵まれず才能に苦しむ小説家が、妻とバカンスを過ごすため訪れたリゾートホテルで初老の男と若い女性に出会う。異様な雰囲気を醸し出す親子ほど離れた二人のことが脳裏から離れなくなった作家は、彼らの姿を追い求め、常軌を逸した行動へ突き進んでいく。共演には、リリー・フランキー、新井浩文、渡辺真起子らも名を連ねている。

ワン監督は日本を舞台にした理由について、「渡辺謙さんと一度、仕事をしてみたかったからです」と笑いをとり、「2年前、西島さんが香港に会いに来て下さって、素晴らしい俳優だと思い、まずここから始まりました。たけしさんも興味を持って下さっていると聞き、中国やアメリカ以外の文化、国で新たな発見をしたいと思ったんです」と明かした。

偶然出会った初老の男・佐原に振り回されていく作家を演じた西島は「偉大な映画作家のお二人と現場をご一緒出来て、毎日が夢のようでした。さっき終わってしまい、非常に落ち込んでいるところです。気の休まることがない、充実した撮影でした。北野さんがアイデアを監督に示して、物語が膨らんでいくのを目の当たりにできたのは、今後の俳優人生における財産というか、勉強になりました」と熱く語った。

作品をオファーされた時についてたけしは「事務所の社長が『ウェインさんがちょっと出てくれと言ってるよ』って言うんで『いいですよ!あの監督好きですから』って返事して、台本もらったら自分の名前が一番上で、これはおかしいなって。西島君が主役のはずで、二人の女性とも絡みがあるのに、私は何にも(絡みが)ない。情けない変質者の役で、考えようによっては主役かなと。作品に参加できただけで充分でございます」と言って笑った。

ミステリアスなヒロイン・美樹を演じた忽那は「本当に刺激的で挑戦的な毎日でした。佐原が自分の子供ではない美樹を幼い頃から理想の女性に育てあげているというのが特徴的で、当初、監督は新人のモデルさんを探されていたそうですが、監督にお会いして、お話するうちに美樹の役をいただけることになって、本当に心から嬉しかったです」と自ら役を勝ち取ったことを明かした。

また、小説家の妻を演じた小山田は「日々流動的で、物語がどう変わっていくのかドキドキ、ワクワクして撮影していました。全て終わって、今は安堵感でいっぱいです。ロサンゼルスで監督と初めてお会いして『セクシャルなシーンもあるが大丈夫か?』と聞かれ、別れ際に『じゃあ、日本でね』と言われても、私は半信半疑だったんですが、次の日にプロデューサーから正式にオファーをいただき、嬉しかったです」とコメント。

たけしは撮影現場について「監督はいつも『OK!最高!』って言うから、終わったのかなと思うと『もう1回』なんだよね。演技については『体や表情に出さないで煮えくり返った自分を見せて』って言うから悩んだよ。さすが芸術家だなと思った」と語り、ワン監督も「たけしさんはもう1人の監督として、いろいろアイデアを提案してくれて、私の知らない日本の文化について話しながら作りあげることができました」と明かした。

また、現場で台本が変わっていったことについてたけしは「基本的には僕と撮り方が似てる。でも俺は適当。監督は前の日から『このシーンを入れよう』とか真面目に取り組んでる。サスペンスなのか、一言では表せない作品。『龍三と七人の子分たち』がこってこてのお笑いで、浅草の花やしきだとしたら、今回は現代美術館に移ったような感覚だった」と自らの作品との比較も飛び出した。

最後にワン監督は「主人公は共感の持てる変態にしようと思いました。初老の男が美しい少女が眠る姿をビデオで撮り続ける執着心を見せるんですが、寝姿というのは純粋さが凝縮されていると思うんです。10歳の頃から撮り続け、今は大人になってしまった美樹が、自分を捨てるだろうと感じている。そういう意味ではヤクザ的な映画なんじゃないかと思っています。裏切りがテーマです」と締めくくった。

公開情報 東映配給「女が眠る時」は2016年全国公開
公式サイト:http://www.onna-nemuru.jp/

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