｢池中玄太80キロ｣をはじめ名作ドラマを数々作りあげてきたテレビ界の巨匠・石橋冠が、｢映画を1本だけ撮りたい｣という長年の想いを結実させた映画初監督作｢人生の約束｣の完成報告会見が10月1日（木）に行われ、主演の竹野内豊をはじめ、江口洋介、松坂桃李、優香、高橋ひかる、柄本明、西田敏行が集結。石橋監督は｢オリジナルの作品で大好きな風景の中で撮りたいという想いを貫け、キャスティングも100％理想的な俳優が揃い、幸せな現場でした。人生はいろんなものを失っていきますが、取り戻すべきものは何か？必ず行動すれば取り戻せるのだと、ぶつぶつ呟きながら撮り終えました｣と満足げに挨拶した。

富山県の新湊を舞台に、かつての親友の死をきっかけに、仕事人間だった男が親友の想いを叶えるため奔走する姿を描き出した人間ドラマ。10月1日は、本作にも登場する｢曳山祭｣がまさに行われている日ということで、竹野内は｢曳山を人々が繋がって曳いている今日、この映画を発表できることを嬉しく思います。石橋監督とは初めてでしたが、子供の頃『池中玄太80キロ』を楽しみながら拝見していました。温もりのこもった、あんな凄いドラマを作っていた監督の作品に参加させていただき光栄です。人の喜びや悲しみ、生き方を、改めて考えさせてくれる素敵な作品に仕上がったと思います｣と自信をのぞかせた。

監督とは旧知の仲である柄本は｢僕の役は憎まれ役で、本を読んだ時に『嫌だな』とお断りしたんですが、冠さんに怒られてやることになりました（笑）。テレビ界では大巨匠ですが、映画は新人ということで、おめでとうございます。この1本で終わらせてはいけません。2本目に繋げていっていただきたい｣と熱くエールを送り、『池中玄太80キロ』からの盟友である西田も｢初めてご一緒した時、監督は大勢のエキストラの名前を全部覚えていて、冠さんの作品だったらどんな役でもいいからついて行きたいと思いました。台本どおりに進行しない僕を本当に面白がってくれて、演者のポテンシャルを引き出してくれる監督です。今回もどんな役でもと思っていましたが、柄本さんと違って良い役でした｣と言って笑った。

また、ドラマ｢なぜ君は絶望と闘えたのか｣以来監督と2度目のタッグとなった江口は、撮影前から舞台となる新湊を訪れ、監督と町を巡っていたそうで、｢監督の話を聞いていたら、すごく温かい映画になりそうだと思いました。自分の役は漁師で、町に床屋さんが多かったので、『これは角刈だな！』と、役に成り切って町に溶け込めたのは大きな財産になりました｣と明かし、そんな江口について竹野内は｢僕は曳山も『本番で見せるから』と言われて、何も見せてもらえなかったんですが、驚いたのは江口さんが先に現場入りしてて、もう漁師にしか見えなかったことです。釣りに行こうと言われて、現地で江口さんを探しても見当たらないくらい馴染んでいました｣と、相当役に入り込んでいた様子。

最後に、印象に残ったエピソードについて聞かれた竹野内は、西田も釣りに同行した時のことを語り出し、｢私も“釣りバカ”なんでね｣と笑いを誘う西田を横目に｢これは言わない方がいいのかな・・・｣と躊躇しつつも、｢西田さんが『僕はあまり（釣りが）好きじゃない』とおっしゃって、その言葉が印象的でした｣と暴露。これを受け西田も｢『演技とは生きることだよ』とか言えば良かったのかな？｣とやや慌てて見せたが、竹野内の｢西田さんの背中を見て、勉強させてもらいました｣という言葉に胸を撫で下ろしていた。