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伊藤健太郎がハリウッドへの野望を明かす!?「グリーンブック」ピーター・ファレリー監督来日会見(2019.03.05)

「第91回アカデミー賞」で作品賞をはじめ、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)、脚本賞の3冠に輝いた「グリーンブック」のピーター・ファレリー監督が初来日し、喜びも冷めやらぬ中、3月5日(火)に記者会見を行った。監督は「やっと受賞の実感が湧いてきているけど、まだショック状態のような感じ。これまでアカデミー賞向けの作品を作ってきたわけではないので、一生のうちでオスカーを獲得できるとは思ってもいなかったよ」と笑顔で明かし、「グリーンブック」が大好きだという俳優の伊藤健太郎もお祝いに駆けつけ、一緒に鏡割りを行った。

1962年、差別が色濃く残る南部でコンサートツアーを計画する黒人の天才ピアニスト、ドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)は、ガサツで無教養なイタリア系、トニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)を用心棒兼運転手として雇い、黒人用旅行ガイド“グリーンブック”を頼りに旅を始める。昨年9月に開催された「トロント国際映画祭」で観客賞を受賞して以来、賞レースを席巻し、これまでに139ノミネート、63受賞を果たしており、日本でも3月1日(金)の公開から4日間で動員28万人、興収3.4億円のヒットを記録している。

本作の強みについて監督は「性格も環境も真逆の2人が話し合い、互いを知ることで共通点を見出していくという、希望を感じさせる部分が観客にも響いているのだと思う。アメリカは今も人種問題を含めて厳しい時代にあるけれど、いつだって希望はあると信じている。話し合えば乗り越えられるなんてクサイことを言っていると思われるかもしれないが、まず話すことから始めなければ、何も始まらないと思う」と持論を展開した。

これまでに「メリーに首ったけ」をはじめ数々のコメディ作品を手掛けて人気を博してきた監督だが、「グリーンブック」以降は路線変更するのか聞かれると、「コメディは大好きだから、これからも作っていくよ!たまたま今までと違うタイプの作品も作ってみたいと思っていた時に、本作の原案となる素晴らしい話を聞いて、絶対に映画化したいと思ったんだ。優しさに溢れながらも人種差別が盛り込まれていて、今の世界に響く重要な物語だと感じた」と明かした。

そして突然、「この会場でカルマを信じている人はいるかな?」と記者たちに挙手を促したが、あまり手が挙がらず、「僕はカルマを信じているんだ。脚本は3人で手掛けているんだけど、その内の一人のブライアン・カーリーは仕事を休んで、認知症を患ったお母さんを7年間介護した後に映画業界に戻って来て、この企画に出会ったんだ。彼が母親に尽くした徳が、この美しい物語を突き動かしたと思っているし、僕もそのカルマをお裾分けしてもらったんじゃないかと思っている」と真摯に語った。

また、「60年代のアメリカ南部の黒人差別はもっと激しいものだったのではないか?」と聞かれると、「確かに当時の人種差別は恐ろしいもので、亡くなった人たちも沢山いた。でも主人公の2人は、旅の中ではそれほど激しい差別には出会っていないし、彼らの身に起きたことを誇張して描こうとは思わなかった。口論になったり、拳が飛ぶことや偏見はあったりしても、2人の経験をそのまま描きたかったんだ」と明かした。

そして、「グリーンブック」のオスカー3冠を見事言い当てていたという伊藤健太郎が登壇し、「素晴らしい映画だったし、マハーシャラ・アリの演技も素敵で、絶対に取ると思っていました!」と監督に語りかけ、「僕は車が好きなんですが、この車を使ったのは何故ですか?」と尋ねると、「実際の2人もキャデラックの同じ型に乗っていたんだよ。でも色は黒だったそうで、モノクロタッチの色彩を意識して映画を撮ろうと思っていたから、色味があった方がいいと思い、グリーンのキャデラックにしたんだ」とコメント。

続けて伊藤が「コメディで気を付けていることは?」と聞くと、「ネタからは作らないようにしている。自分たちが好きなキャラクターをまず作って、観客に好ましいと思ってもらえたらジョークも楽しんでもらえると思っている。だから『メリーに首ったけ』のヘアジェルのシーンだって笑えるだろう?」と投げかけ、一同納得。

そして「いつか海外でも仕事をするのが目標でもある」と伊藤が明かすと、監督は「どこにいても素晴らしい仕事をすることが大事。でも、とりあえず行ってみるのもありじゃないかな?いつか僕とも仕事して欲しいな。君には映画スターらしさを感じるよ」と語りかけ、「そうですか!?」と驚きつつも、「嬉しいです。その言葉を忘れずに、まずは日本で頑張ります!アメリカに行った時には『あの言葉、忘れてませんよね?』と言いますからね」と監督にアピールしていた。

公開情報 ギャガ配給「グリーンブック」2019年3月1日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
公式サイト:https://gaga.ne.jp/greenbook/

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