ニュース

「SIDE:A」と「SIDE:B」の2作連続公開決定!「東京2020オリンピック」製作報告会見(2022.03.24)

1964年以来となる東京での開催となった夏季オリンピックの表舞台に立つアスリートたちを中心にオリンピック関係者たちを描いた「東京2020オリンピック SIDE:A」の公開日が6月3日、大会関係者、一般市民、ボランティア、医療従事者らの非アスリートたちを描いた「東京2020オリンピック SIDE:B」の公開日が6月24日に決定し、総監督を務めた河�P直美監督が製作報告会見を3月24日(木)に行った。河�P監督は「市川崑監督があの美しい映像美で作り上げられた作品の跡を継いで、2本作らせていただくことになりました」と挨拶した。

当初開催予定だった2020年、新型コロナウイルス感染症が世界的に蔓延し、第32回オリンピック競技大会は史上初めての延期が発表された。コロナ禍が続く2021年夏、ほぼ無観客での開催が決定され、関係者の辞任や開催有無の賛否両論が巻き起こる中、7月23日から17日間に亘って過去最多の33競技、339種目が実施された。異例とも言える大会と、その開催に至るまでの750日、5000時間に及ぶ膨大な記録を基に、ありのまま全てを後世に伝えるため、2つの公式映画として紡ぎ出す。

コロナ禍により大会が1年延期されたことについて、「1年間何を撮ればよいのか模索しながらも、その期間なくしては今回の事態を記録したことにならない、アーカイブとして意味が無いと思いました。アスリートを中心に描くSIDE:Aと、大会を支えた人たちを反対派の人たちの様子も含めて描くSIDE:Bの2作品で作れたらと、撮影中から思っていました。メダルを取れなくても、人生の勝利者たる人々を描きたいと思いましたし、かつて現役であり現在はコーチとして選手を支える人たちにもスポットを当てています」と述べた。

無観客での開催など様々な規制があったが、「私たちも距離を置いて撮影しなければならず、安心安全な大会にしていくという中で、自分はもう少し近づきたいなという思いはありました。でも出来ないことも含めて全て作品にしています」と苦労があった様子。延期期間中には組織委員会会長の辞任劇もあり、「森会長の女性蔑視発言は多くの人を傷つけることになりました。今はSNSを含め発言が世界に瞬時に伝わるので、真意を伝える努力をしなければならない。ジェンダーバランスが悪かった組織も、森会長の言葉でいい意味で変わるきっかけになったと思うので、そういった部分も映像に残しています」と語った。

自身も高校時代はバスケットボールの国大選手だったということで、アスリートたちの姿に涙することもあったそうで、「一瞬の輝きに到達するアスリートたちの横にカメラを置かせてもらえたのは、かけがえのない時間でした。だからこそ無観客というのは最後まで悔しく、子供たちには自身の眼を通して見て欲しかった。映画では競技だけでなく、選手たちの心模様や目に見えないものを、彼らの素顔を通して伝えたいと思っているし、私たちの選択したことが正しかったのか、次の世代の一つの教科書として観てもらえたら」と心の内を明かした。

また、デビュー作「萌の朱雀」を最近見返したそうで、「今では作れない映画だと思った反面、多くを語らずとも伝わるものがある。映像言語として伝えることができるんだと、改めて気づかされました」と述懐。そして最後に現在のロシア、ウクライナ情勢について触れ、「正直、映画の会見が今でいいのか考えていましたが、苦しい状況に置かれている人々の心にも光を届けたいと思って映画を作っています。50年、100年後に、ささやかな幸せを守らなければいけない事態にならないで欲しい。みんなが人生の金メダリストになれることを祈っています」と平和への願いを込めた。

公開情報 東宝配給「東京2020オリンピック」SIDE:Aは2022年6月3日(金)、SIDE:Bは6月24日(金)から全国東宝系で公開

バックナンバー

ページのトップへ