松村北斗と高畑充希の役への恐怖を取り除いたものとは?「秒速5センチメートル」完成報告会(2025.08.28)
「君の名は。」(2016年)、「天気の子」(2019年)、「すずめの戸締まり」(2022年)など記録的ヒット作を生み出してきた新海誠監督が2007年に製作した不朽の名作を実写化した「秒速5センチメートル」の完成報告会が8月27日(水)に行われ、主人公・遠野貴樹を演じた松村北斗、ヒロイン・篠原明里を演じた高畑充希をはじめ、森七菜、上田悠斗、白山乃愛、宮崎あおい、吉岡秀隆、奥山由之監督が登壇した。松村はオファーを受けた時の印象を「恐ろしいなと。愛され続けてきた『秒速5センチメートル』の実写化であり、生身の人間になるワクワクと得体の知れない恐怖がありました」と率直に語った。
アニメーション「秒速5センチメートル」は、映像美、音楽、特徴的なセリフで詩的な世界観を作り上げ、センチメンタリズムが凝縮された新海ワールドの原点との呼び声も高く、初の実写映画化となる本作は、主人公・遠野貴樹の18年間に亘る人生の旅を、幼少期、高校生、社会人の3つの時代で描き出している。これまで「ポカリスエット」のCMや、米津玄師の「感電」「KICK BACK」、星野源の「創造」のMVを監督し、写真家としても評価されてきた新鋭・奥山監督初の大型長編商業映画となり、「皆さんが温かい気持ちで、愛情をもって丁寧に作り上げて下さった映画の完成を無事に報告できて嬉しく思います」と挨拶。
初号試写で鑑賞したという新海誠監督からは「映画を観始めて、最初はなんだか居心地が悪かったのです。不完全で未熟なバトンを若い作り手たちに渡してしまったような気持ちでした。しかし途中から映像に呑まれ始め、最後には自分でも驚いたことに、泣きながら観ていました。(中省略)『秒速5センチメートル』を作っておいて良かったと、(ほとんど初めて)心から思えました。奥山組の皆さん、本当にありがとうございました」とコメントが寄せられており、奥山監督は「新海さんも『何に泣かされているのかわからない』と、言語化できないくらい身体的に感動したんじゃないかと仰って下さり、自信になりました」と明かした。
企画書に「遠野貴樹役=松村北斗」と書かれてあり、「憧れの貴樹を僕なんかがやるんだ」とプレッシャーを感じたという松村だが「奥山さんとお話して、これ以上ない信頼感と安心感が生まれました。熱量が凄くて、この方となら恐ろしいチャレンジに参加させてほしいと。撮影を過ごす日々で、その信頼が減る瞬間は一度もありませんでした」とコメント。新海監督からも「北斗くんの貴樹が見たいですね」と言われていたそうで、初号の後には「貴樹がほっくんで本当に良かった」と声をかけられ、「不安を飛び越えさせて下さいました」と感謝。
ヒロインを演じた高畑は「こんなに美しい物語に参加できたことを幸せに思います。アニメーションの明里は、貴樹の目線で見ていたので、女神やマドンナのような印象でした。自分にお話が来て、何かの間違いじゃないかと思ったんですが、台本が原作へのリスペクトに溢れながらも、それぞれのキャラクターがたくましく、人間らしく浮かび上がっていて、その中の明里にも共感できました。恐怖が8割、9割だったんですが、10年くらい知り合いの奥山さんのチャレンジに声をかけていただけた嬉しさが勝りました。いい選択ができたと思います」と笑顔を見せた。
貴樹に想いを寄せる高校の同級生・澄田花苗を演じた森は「私は種子島で夏の撮影のみで、皆さんの空気感がつかめないままクランクインし、台無しにしてしまうかもと怖かったんですが、原作への愛とそれを体現できる喜びを大事にすれば、新海さんもファンも喜んで下さるのでは?と希望を持って進みました」とし、花苗の姉で、貴樹が通う高校の教員・輿水美鳥を演じた宮崎は「監督から『肌をちょっと黒くしてほしい』と言われて、日焼けしてから撮影に入りました。森さんと2人でこんがりした肌が種子島とマッチして、美鳥さんのキャラクター作りに自信が持てました。高校生の妹の好きが溢れている姿が可愛くて、姉として愛おしかったです」と明かした。
科学館の館長・小川龍一を演じた吉岡は「僕も大好きな新海監督の作品だったので、そこに手をつけるんだと思いましたが、北斗君はまさに『貴樹がいる!』という感じで、奥山監督の繊細さに任せればいいと感じました。新海監督からは試写を観て直ぐに『ありがとうございました』と言われ、奥山作品になったんだなと。原作者に『ありがとう』と言われるほど嬉しいことはないです」と振り返った。
公開情報 | 東宝配給「秒速5センチメートル」は2025年10月10日(金)から全国公開 公式サイト:https://5cm-movie.jp/ |
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