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第34回東京国際映画祭が閉幕、最高賞は「ヴェラは海の夢を見る」(2021.11.10)

「第34回東京国際映画祭」が11月8日に閉幕し、男性優位の環境に抵抗する女性をカルトリナ・クラスニチ監督が力強く描いたコソボ映画「ヴェラは海の夢を見る」が東京グランプリ/東京都知事賞に輝いた。クラスニチ監督からはビデオメッセージが届き、「受賞を知り、喜びのあまり泣いてしまいました。審査委員の方々、この物語を実現させるため一生懸命働いてくれたチーム、キャスト、スタッフに感謝します。ありがとう東京、ありがとう日本」と述べた。

コンペティション部門国際審査委員長を務めたイザベル・ユペール氏は「15作品から感じたのは映画の多様性です。言語の違いがテーマの作品や、非言語的な映画芸術、あるいは音楽、演劇、舞踊、映画そのものも取り上げられていました。また、多くの女性が描かれ、『ヴェラは海の夢を見る』『市民』『もうひとりのトム』の登場人物は途方もない苦境、犯罪、暴力、虐待に直面しながら被害者としては描かれず、戦いの勝ち負けにも左右されず、未来へ向かっていきます。こうした15作品と世界を探求でき、審査委員として光栄でした」と語った。

最後に安藤裕康チェアマンは「今回来日された著名なフランスの批評家から『今、東京国際映画祭が目指していることは、映画の多様性、創造性、そして世界との連携という見地から日本の映画界のみならず映画を愛する全ての人々にとって重要であると確信している』とメッセージをいただき、この言葉を噛みしめながら前進して参ります」と述べ、映画祭は閉幕した。

なお、映画祭の動員数(速報値)は、上映動員数が2万9414人(上映作品数126本)、上映作品における女性監督の比率(男女共同監督作品含む)が26・2%(34本)、その他リアルイベント動員数が2万6514人、共催/提携企画動員数が3万4000人となった。

【コンペティション】
▽東京グランプリ/東京都知事賞=「ヴェラは海の夢を見る」(カルトリナ・クラスニチ監督)、▽審査委員特別賞=「市民」(テオドラ・アナ・ミハイ監督)、▽最優秀監督賞=ダルジャン・オミルバエフ(「ある詩人」)、▽最優秀女優賞=フリア・チャベス(「もうひとりのトム」)、▽最優秀男優賞=アミル・アガエイ/ファティヒ・アル/バルシュ・ユルドゥズ/オヌル・ブルドゥ(「四つの壁」)、▽最優秀芸術貢献賞=「クレーン・ランタン」(ヒラル・バイダロフ監督)、▽観客賞=「ちょっと思い出しただけ」(松居大悟監督)、▽スペシャルメンション=「ちょっと思い出しただけ」(松居大悟監督)。

【アジアの未来】
▽作品賞=「世界、北半球」(ホセイン・テヘラニ監督)。

【Amazon Prime Video テイクワン賞】
▽テイクワン賞=キム・ユンス監督(「日曜日、凪」)、▽審査委員特別賞=瑚海みどり監督(「橋の下で」)。

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