「X‐MEN」シリーズで絶大な人気を誇るキャラクター、ウルヴァリンが日本を舞台に死闘を繰り広げる「ウルヴァリン：SAMURAI」の来日記者会見が8月29日（木）に行われた。作風に合わせ、目黒雅叙園の広さ123畳を誇る純和風の広間で開催される異例の会見となり、能舞台に登場したヒュー・ジャックマンは「素晴らしい部屋だね！ヒュー、ヒューって感じだ（笑）」とご満悦の様子。「大好きな日本で撮影ができ、予てからの夢が叶いました。日本の人々や文化、伝統はとても美しいし、何と言っても、みんなシャキっと姿勢がいいよね！」と背筋を正して会見がスタートした。

物語は、カナダで隠遁生活を送っていたローガン（ウルヴァリン）が、ある因縁で結ばれた大物実業家、矢志田に請われて日本を訪れるが、重病に冒された矢志田はミステリアスな言葉を遺して死去。その後、何者かの罠にはまって治癒能力を失い、心身に凄まじいダメージを負ったローガンは、初めて自らの“限りある命”を意識し、さらなる過酷な運命を辿っていく。

ジェームズ・マンゴールド監督は「日本での撮影は、僕の人生の中でも素晴らしい体験だった。昔から日本映画が大好きで、影響を受けてきたので、西洋人の監督として日本の違った側面を世界中に紹介できることを嬉しく思う。日本人キャストの貢献と、ヒューのおかげで、ファンタジー作品でありながら、リアルな人間像を見せられたと思う」と挨拶。

真田広之扮する武道の達人シンゲンが振りかざす刀と、それに対峙するウルヴァリンの爪が壮絶な火花を散らす対決シーンについてヒューは「真田さんは日本の国宝だと知っていたので、本当に傷付けずに済んで良かった。他のシリーズでは、2人刺してしまって、自分自身も15回くらい傷付けているからね。あのシーンは重要で、ウルヴァリンが生まれ変わるシーンでもあったから、CGは一切使わず、ガチな男と男の戦いだった」と語り、真田も「オーストラリアの国宝を傷付け無くて良かった（笑）」と応戦。

「爪を付け、上半身裸でフルスピードで戦うヒューに、少しでも刀が当たってしまえば、ヒューのファンから殺される以前に、役を降ろされ兼ねなかったので、今、この場に居られてホッとしている。監督がドラマとアクションをきちっとリンクさせて下さっていたので、1シーンごとに感情が乗り、傷付けてはいけない必死さと、シンゲンの必死さが上手く合わさって画面に伝わっていると思う」と明かした。

共に世界的ブランドのキャンペーン広告モデルを務めるTAOと福島リラは、今回が映画初出演。TAOは「ヒュー・ジャックマンの凄いファンで、オーディションを受けたのがきっかけ。その後、監督に出会って、お芝居の楽しさを教えていただき、ヒューと監督には新しい人生の扉を開いていただいたと感謝しています。最初は不安で仕方なかったのですが、真田さんから『今は味のついていない鮮魚なんだから』と言われて、『そうか、私はまな板の上の鯉なんだ！』と思えて肩の力が抜けました」と笑顔で語り、福島も「このような超大作に参加させていただき光栄。アクションも初めてで、3週間のトレーニングと殺陣や所作を学びました。真田さんとのシーンが最初にあったので、時間さえあれば素振りをしていました（笑）。ヒューも見ているだけで学ぶことが沢山ありました」と先輩俳優たちから刺激を受けていた様子。

また、これまでにも日本の観光地には足を伸ばしていたというヒューだが、今回は東京だけでなく、広島県の福山市や鞆の浦でもロケを敢行。撮影の合間を縫って、息子と富士山にも登ったということだが、今回はビックリすることがあったようで「ラブホテルが出てきて、『クールだね。誰が考えたの？』ってスタッフに聞いたら、『実際にあるんだよ』と言われて驚いた。しっかりリサーチもしちゃったよ」とオチャメにコメント。

そして、東京へのオリンピック招致応援コメントを求められたヒューは「続編として『ウルヴァリン：オリンピック・スピリット』を作ろう！ドーピング検査も受けるけど、爪がネックになるかな。10種競技には全部出るつもりだよ！というのは冗談で、東京はオリンピックに最も相応しい街だと思うよ。これだけ多くの人がいるのに全てがちゃんと機能しているんだからね。一つだけ難点は、選手たちが帰りたくなくなってしまうことかな」と、2020年の東京オリンピック招致を後押しした。

また、最後に一言ということでヒューは「こんなに多くの取材陣が靴を脱いでいるのを見るのは初めてだったよ！」と畳の上に座って取材していた記者たちから笑いを誘い、マイクランナーとして活躍していた2人の黒子にも「今日はありがとう。マット・デイモンとベン・アフレック！」とご機嫌の様子で会場を後にした。