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故・渥美清による「寅さん」が22年ぶりに復活!「男はつらいよ」50周年プロジェクト発表会(2018.09.06)

1969年に第1作が劇場公開された「男はつらいよ」シリーズが来年で50周年を迎えることを記念し、「男はつらいよ」50周年プロジェクト発表会が9月6日(木)に行われ、松竹の大谷信義会長、山田洋次監督、倍賞千恵子らが登壇した。渥美清主演の「男はつらいよ」は、28年間に亘り特別篇を含む全49本が製作され、総勢42名のマドンナが出演する国民的シリーズ映画として、日本中に笑いと元気を届けてきた。その22年ぶりとなる新作の製作が決定し、山田監督は「ちょっと不思議な映画が出来ると思う。僕も楽しみにしてるんです」と期待感を煽った。

松竹の大谷会長は「松竹映画が元気の無かった時に寅さんの第1作目が作られました。エログロ映画が全盛だった当時、城戸四郎社長が『映画は家族で見られる健全な明るい作品でなければならない。喜劇が一番!』と主張され、『男はつらいよ』が大ヒットしたことで、社長も鼻高々だったと思います。それから松竹は喜劇を中心に映画を作っていこうと、山田監督をはじめ、スタッフ一丸となって頑張っております」と感慨深げに挨拶した。50周年プロジェクトのテーマは「人生の“道しるべ”」。この混迷の時代に「男はつらいよ」を通じて、人生の道しるべを見つけてもらい、自らが本当に辿り着きたい未来への一歩を踏み出して欲しい、という想いが込められている。

今回のプロジェクトでは、シリーズ全49作品を4Kデジタルで修復し、2019年夏に全国の映画館で巡回上映&初のブルーレイリリースを予定している他、同年8月に日本橋三越本店で展覧会、9月28日に有楽町よみうりホールで「寅さん×落語×トーク」スペシャルイベントを開催するなど各種イベントを行い、森本千絵が主宰するデザイン集団「goen°」による新キャラクターデザインを使ったグッズ展開、日本郵便、LINE、タニタなど団体や企業とのコラボレーション企画も実施する。また、先日9月5日には山田洋次監督初の小説であり、「男はつらいよ」エピソード・ゼロとも言える「悪童(ワルガキ) 小説 寅次郎の告白」が講談社より刊行されたばかりだ。

山田監督は「60年代後半から70年代前半は日本人が元気で精神的にも充実し、一生懸命働いて理想の生活を実現しようとしていた一番幸せな時代だったんじゃないかな。そんな時代に生まれた寅さんという何の取柄もない男が、元気一杯にスクリーンで活躍し、何作も続編を作ることになるとは予想もできなかったのだけど、それから50年が経ってしまった。今、寅さんをもう一度観ることで、あの日本人が豊かな気持ちでいた時代を想起しつつ、次の時代へギアチェンジしなければいけないのではないか?と笑いながら、ふと考えるような作品が出来ればと思い、準備しているところです」と明かした。

寅さんの妹・諏訪さくらとしてシリーズに携わってきた倍賞も「1作目の撮影時には、よく笑って、叱られての繰り返しで、こんなに続くとは思ってもいませんでした。寅さんには日本人独特の優しい思いやりや愛情が沢山あって、それを見続けて下さった皆さんの心の中にも、きっとそれがあったから長いこと愛され続けてきたんだと思います。改めて50年ってすごいな。私は171本の作品に出演していますが、その3分の1が寅さんで、“おばちゃん”より今では年とってしまったんですが(笑)、とても楽しみにしております。皆さんも楽しみにしてご覧になっていただけたら」とコメントした。

深澤宏プロデューサーは、来月から寅さん縁の地で新作の撮影を開始すること、主役は渥美清であり、倍賞千恵子、前田吟をはじめ豪華メンバーが参加することを明かしたが、内容やその他キャストについては明かさず、謎に包まれたまま。しかし、山田監督は「さくらの息子の生い立ちと成長を中心に、彼が何を悩んで、何をしようとしているのかを描いていく。なおかつ主役は渥美さんで、今僕たちは幸せだろうか?君たちはどう生きるのか?がテーマになると思う。今まで登場した人々は一人残らず、ほんのちょっとでも登場することができる映画にしたい」とますますどんな映画になるのか期待感を煽った。

公開情報 公式サイト:https://www.tora-san.jp/50th/

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