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映画実験レーベル「Cinema Lab」設立会見&第1弾「ビューティフルドリーマー」完成披露(2020.10.06)

参加監督たちが日本映画界に多大な影響を与えた“ATG”こと「日本アート・シアター・ギルド」に着想を得た映画実験レーベル「Cinema Lab(シネマラボ)」のキックオフ会見と、その第1弾作品「ビューティフルドリーマー」の完成披露イベントが10月5日(月) に行われた。監督の作家性を最大限に活かす「監督絶対主義」を掲げ、映画化の条件は「限られた制作予算」のみという新レーベルについて、本広克行監督、押井守監督、小中和哉監督、上田慎一郎監督が明かした。

第1弾作品を手掛けた本広監督は「日本の映画史を紐解くと、ATGから傑作が生まれている。押井さんの力も借りて、まずは第4作まで作る予定なので、大いに湧いていただければ、日本映画界も活気づくのではないかと思っています」と挨拶。監督自ら企画開発、脚本、キャスティング、ロケーション、演出、編集など全てのクリエイティブを担うということで、押井監督は「作りたいものをどこまで出来るか。でも何でもかんでも自由は良くないし、得意技大会になってしまうので、縛りが必要だということになった」とコメント。

さらに「映画から遠ざかっている人にも、俺にもっと撮らせろ!と思っている人にも参加して欲しい。撮りたいヤツは山ほどいるので、興行的成功もある程度は必要。だから第1弾は良い形で成功してもらわないと・・・」と本広監督にプレッシャーをかけると、「(原案は)押井さんの脚本ですけどね!」と返される場面も。「アニメでやったことを、実写にするのが恥ずかしかったけど、やっぱ自分で撮りゃよかった!でも本広君の独特な部分が入っていると思う」と複雑な心情を明かした。

小中監督は「監督主体のレーベルというと、自己満足で終わると思われる。でも、お客さんが観たいものを作って、こんなにクリエイティブで良いものが作れるんだ!ということを実証したい」と意気込み、上田監督も「小学校から映画好きですが、中学くらいから作家性の高い作品を観るようになって、本当の映画好きになりました。僕みたいな映画好きの入り口になるような、自分も映画を撮りたいと思ってもらえるようなレーベルになるといいなと思っています」と抱負を述べた。

引き続き行われた「ビューティフルドリーマー」の完成披露には、本広監督をはじめ、小川紗良、秋元才加、ヒロシエリ、飯島寛騎が登壇。本作は、映画を撮ったことのない先勝美術大学映画研究会の部員たちが“いわくつきの台本”の映画化に挑むも、「撮ろうとすると、必ず恐ろしいことが起こる」という言葉どおり、予期せぬ困難やトラブルに次々と見舞われる姿を描き出す。

自身も女優だけでなく映画監督として長編デビュー作「海辺の金魚」の公開を控える小川は「こういうレーベルで4名のベテラン監督に先陣を切っていただいて、さらに若い監督や女性監督が続いていったら意味があるものになると思います」とコメント。“アキモトサヤカ”役として出演する秋元は「本人役は初めてでした。ギリギリまで台本が大筋しかなくて、不安だったり、反省したりの毎日だったんですが、お芝居の余白があると感じるようになって、充実した楽しい撮影になりました」と明かした。

最後に本広監督は「ずっとやりたかったメタフィクションとか、やりたかったことが出来て、スタッフたちにも未来に繋がるチャンスを与えられる作品になったと思います。いつの時代も映画研究部はあるので、パート2、パート3と続けていったとしても、次の世代の人たちが出演できると思うので、そういった部分も踏まえて楽しんで観てもらえたら」と締めくくった。

公開情報 エイベックス・ピクチャーズ配給「ビューティフルドリーマー」は2020年11月6日(金)テアトル新宿、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開
公式サイト:https://beautifuldreamer-movie.jp/movietop/

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